ハリー・ハリス駐韓米国大使が、韓国内の行事日程を相次いでキャンセル・欠席している。先日の「キャンセル当日に米ハンバーガー店へ」に続く欠席案件もあり、現地メディアからは「韓米関係の乱れの兆し」(朝鮮日報)を懸念する声も出ている。
韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告をしたことに米政府が「失望」を表明したところ、韓国外交部(外務省)の第1次官がハリス大使を呼んで、そうしたメッセージの自制を求めていた。大使の一連の対応は、こうした韓国側態度に対して不満を間接的に伝えている、との見方も出ている。
「『安保対話』に参加せずモルディブ行き」報道
朝鮮日報(日本語ウェブ版)は2019年9月3日、「ハリス大使、『安保対話』に参加せずモルディブ行き」の見出しで記事を配信した。4~6日、韓国で行われるソウル安全保障対話(SDD、韓国国防部主催)への出席を韓国側から打診されたが「欠席」し、インド洋のモルディブで3~4日(現地時間)に行われる「インド洋会議2019」(インドのシンクタンク「インド財団」主催)に出席すると報じている。ハリス大使は、1日のツイッターで会議への出席予定を報告していた。
経緯については、朝鮮日報記事(8月30日)によると、2012年から始まったSDDには、これまでアメリカからは国防次官補クラスかそれに準ずる米軍関係者が(14年を除き)出席していたが、今回はランドール・シュライバー国防次官補の出席を韓国側が強く要請したものの「日程上の理由」で参加は困難と通知された。さらに9月3日記事では、次官補欠席の通知を受けハリス大使の出席を打診したが、スケジュールが詰まっているため実現しなかった、という韓国政府関係者のコメントを報じている。
こうした動きを受け、3日記事では、「GSOMIA破棄決定で韓米関係の乱れの兆しがあちこちでキャッチされているものだ」「(SDDに)米国側から主要当局者が派遣されないのは非常に異例のことだという」と指摘。8月28日にあったハリス大使への呼び出し・自制要請にも触れ、「(それ以降)韓国国内の安保関連行事を相次いで欠席したり取り消したりしている」と、「相次いで」の対応である点に注意を促している。