森ビルは8月22日、東京都港区にオフィスやマンションを含む高さ約330メートルの超高層ビルを建設する「虎ノ門・麻布台プロジェクト」を発表した。完成予定の2023年には、大阪市の「あべのハルカス」(300メートル)を抜き、日本一の高さになるという。
ただし、2027年には三菱地所が東京・大手町に高さ約390メートルの超高層ビルを完成させる予定で、森ビルが日本一となるのは、わずか4年にとどまる見通しだ。
「ヒルズの未来形」目指す
森ビルが虎ノ門・麻布台で建設する超高層ビルは、東京スカイツリー(634メートル)には及ばないものの、東京タワー(333メートル)とほぼ同じ。現在1位のあべのハルカスはもちろん、横浜ランドマークタワー(296メートル)や東京都庁(243メートル)、サンシャイン60(240メートル)など、首都圏の並み居る高層ビルをしのぐ。東京タワーと森ビルは同じ東京都港区で近接しており、話題を呼びそうだ。
森ビルの「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は「日本一」となる超高層ビルの高さに話題が集中しているが、魅力はこれだけでない。森ビルは「中央広場を中心に、オフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設など多様な都市機能を融合させたヒルズの未来形」を目指すという。
このプロジェクトは森ビルが東京都港区で手がけた「アークヒルズ」に隣接し、「六本木ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ」の中間に位置する。この地区は外国大使館、外資系企業、ホテルなどが多く、外国人居住者も多いことから、森ビルは「六本木ヒルズに匹敵するスケールとインパクトの街を都心の真ん中に建設する」という。
この地域は都心の中でも小規模な木造住宅やビルが密集して老朽化が進んでおり、森ビルは1989年から地権者と協議を重ね、再開発の準備を進めてきた。
国際都市と「小さな村」のハイブリッドに
総事業費は6000億円規模で、森ビルとして過去最大級の開発となる。開発区域は約8.1ヘクタールで、3棟の高層ビルなどを建てる。このうち緑化面積は2.4ヘクタール。住宅戸数は約1400戸、就業者数約2万人、居住者数は約3500人で、「国際都市と小さな村の親密さを兼ね備えた新しい街になる」と森ビルは説明する。
超高層ビルの地下には、この地域に冷暖房を供給するコージェネレーションシステムを備え、「再生可能エネルギーの電力を100%供給する」という。具体的にどこから再生可能エネルギーの供給を受けるのかは明らかになっていないが、実現すれば話題を呼ぶのは間違いない。このプロジェクトは8月5日に既に着工しており、2023年3月末の完成を目指すという。
一方の三菱地所だが、東京駅日本橋口前の常盤橋街区を再開発し、390メートルの超高層ビルを建設する予定だ。日本の伝統の「刀」などをデザインに取り入れ、7000平方メートルの広場も併設する。こちらは2027年の完成予定だ。
2020年の東京五輪以降も、首都の街並みはさらに変貌を続けそうだ。