日本政府、出版社にも原因?
高橋氏は、海賊版サイトが人気を集めることで「出版社が海外出版するときの計算が狂います。海賊版サイトのランキング上位にあって『何百万人の人が読みました』と書いてある作品だったら、これを公式で出してもコスト回収が難しそうだからやめよう、となるでしょう」と懸念を示す。
「『俺たちが好きな作家さんの作品を海外に届けてやる』『もっと多くの人に知ってほしい』と純粋な気持ちでスキャンレーションをするファンが少なくないですが、その善意が作家さんを傷つけ、漫画業界を殺します」(高橋氏)
一方で、責任の一端は日本の出版業界や、政府戦略にもあると高橋氏は見る。
「海外ユーザーの中には違法性を認識している人もいます。ただ、買える環境がないんです。どこの出版社の作品でも読める漫画版のネットフリックス(定額制動画配信サービス)があったら、毎月10ドルでも払う人はたくさんいます」「小学館は『VIZ Media』(同社の子会社)で漫画の翻訳出版をしていますが、欧米のみの展開です」。VIZ Mediaで配信された「ONE PIECE」などが、Manga Rockに転載されている現状があるという。
「また、国もクールジャパン戦略で漫画をPRするだけでなく、権利の保護にも目を向けてほしい」