空車なのにタクシーにスルーされた!なんで? 「停まれない」事情を業界団体に聞く

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「営業区域」の壁があることも

   タクシー業には、道路運送法施行規則第5条に基づき、各都道府県・地域の運輸局長が定める「営業区域」というものがある。タクシーの発着(乗車/降車)は「営業区域『内』」で行うのが原則である。

   たとえば東京都は「(1)特別区(23区)/武三交通圏」「(2)北多摩交通圏」「(3)南多摩交通圏」「(4)西多摩交通圏」「(5)島地区」に「営業区域」が分かれる。仮にタクシー運転手が「特別区/武三交通圏」担当で、23区を周回中に客を乗車させたとする。行先は「埼玉県」だ。これは乗車地点が「営業区域『内』」であるため、法に抵触しない。道路運送法第20条に、

「一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く。)をしてはならない」

とあるためだ。つまり乗車/降車地点が担当の「営業区域『内』」でなければならない。それゆえ、タクシー運転手は「埼玉県」で客を降車させた後、つづけて客を乗せるとき行先が「埼玉県」内であってはいけないのだ。

   全タク連広報担当者は、手を挙げた場所が営業区域外だった可能性は否定できないとする。タクシー事業者によっては「回送」表記にすることもあるそうが、ルールは地域性や会社のルールによって異なるという。そのため「空車」表記のまま、営業区域内に戻る運転手もいる。トラブル回避のために、タクシー事業者は運転手に対して区域外なら客に説明してもらうなどの指導を行っているという。

(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)

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