国内の仮想通貨取引所が、異業種連携による事業推進で、攻勢を強めている。
いずれも莫大なユーザーを抱える共通ポイントや電子マネーとの連携であり、大衆層を巻き込んで口座開設者を増やしたいという取引所側の思惑が垣間見える。
馴染み深いサービスを活用したマスマーケティング
「仮想通貨取引所ビットフライヤーが20日から共通ポイント・Tポイントでビットコインを購入できるようにする」。8月19日、日経新聞電子版の夜間配信で、そんなニュースが飛び込んできた。
Tポイントは、TSUTAYAやファミリーマートなど各種店舗で貯めては使えるというポイントで、ユーザー数は約7000万人。約1億人弱の楽天スーパーポイントに次ぐユーザー規模だ。
さらに、総人口に占めるTポイントの登録者の割合は20~50代、いずれの年代で6割を超える。ビットフライヤーは、その利用者の裾野の広さに着目。同社の担当者は「裾野の広さから女性や高齢者など仮想通貨に馴染みのない需要も取り込める」と強調する。
翌々日の21日、ビットフライヤーに続くように、仮想通貨取引所ディーカレットが、仮想通貨で電子マネーをチャージするサービスを開始。セブンイレブンのnanaco(ナナコ)や、KDDIが提供するauウォレット、楽天Edy(エディ)で、仮想通貨によるチャージできるようになった。
このディーカレットの新たなサービスは、仮想通貨をモバイル上で電子マネーに交換し、決済に利用させるというもの。従来型の出口戦略である「仮想通貨→決済」ではなく、「仮想通貨→電子マネー→決済」という利用フローで、国内初の試みだ。
電子マネーの間口は広い。ディーカレットが提携する楽天Edyとnanacoの発行枚数は1億5000万枚以上を記録し、auウォレットは、有効会員数は2500万会員を超える。電子マネーの利用規模から、仮想通貨取引所のマスマーケティングとしては、かなり大規模だ。