テレビアニメ「サザエさん」(フジテレビ系)といえば、日本人の誰もが知っている「超」有名番組である。実は同番組、2019年で放送50周年を迎える。1969年10月5日に第1回を放送して以来、昭和から平成、そして令和...と3元号をまたぐ人気長寿アニメだ。
45歳の筆者も、日曜日の夕方になると、なぜだか必ずサザエさんを見てしまう。基本的には、磯野家内でのシーンが作品の半分以上を占めるわけだが...ふと、気になったことがあった。「あの家」の間取りって、本当はどうなっているのだろう? 正確に描写できるだろうか? ということで、東京都世田谷区桜新町にある「長谷川町子美術館」に行ってみた。
描けそうで描けない「磯野家」の間取り
同美術館では常設展のほか、夏休みなど時期によって特別展も実施。家族そろって楽しめる内容となっており、「磯野家の間取り」模型、図面は常設されているそうだ。
間取りを左上から横へ順に紹介すると、お風呂と脱衣所、台所(勝手口)、そして一家だんらんのお茶の間、カツオとワカメの部屋、玄関。中段も左から波平とフネの部屋、客間、廊下を挟んでサザエとマスオとタラちゃんの部屋、左下がトイレ、廊下兼縁側...という形となっていた。
筆者のイメージでは、カツオとワカメの部屋と、茶の間の間にフグ田一家(サザエさん一家)の部屋があるイメージだったが、見事に外れてしまった。
ちなみに取材が終わった夜、友達4人との食事会があった。お酒も入った勢いで「サザエさん家を誰が正確に描けるか?」という謎のゲームを始めてみた。それぞれに紙を渡し、一斉に描き始める。「えっ、廊下はこんな感じじゃない?」、「さすがに茶の間と台所は隣だよね。でもお風呂とトイレって、どこ?」と、いい大人が他人の図面をカンニングしながら、楽しそうに描いていた。
しかし、近いものはあっても完璧と言えるものはなかった。毎週、見ているにもかかわらず、大人4人そろって1人も正解が出ないとは...。逆に、それほど無意識のうちに楽しんで見ているのかもしれない。
「庭の花」は季節ごとに変わっていた!
磯野家の間取りについて、「長谷川町子美術館」の担当者によると、
「お越しになったお客さまからは『あ~、こうなっていたのか...』とか『思っていたのと違う!』とかいうご意見もあって、楽しんでいただいております」
とのこと。さらに、アニメのディテールについても紹介してくれた。
「お茶の間の『卓』ですが、夏はノーマル、冬はコタツとなっていることは、ご存じの方も多いと思います。ほかに、波平さんの後ろに掛かっているカーテンも、夏と冬でデザインが違うんですよ。加えて、その窓から見える庭のお花も季節によって変わっています」
ちなみに庭の花は、
・1月=ナンテン
・2~3月=スイセン
・4月=チューリップ
・5月=ショウブ
・6月=アジサイ
・7~8月=サルビア
・9~10月=コスモス
・11~12月=小菊
となっているそうだ。
もし、磯野家を売りに出したら...
そんな取材をしつつ、ふと考えた。下世話だが「もし磯野家を売りに出したら、いくらで売れるのか?」ということだ。8畳が3部屋、6畳が2部屋、台所、縁側、そして何より庭が広い。これを、ざっくり見積もって100坪あると想定する。東京都世田谷区桜新町(東急田園都市線桜新町駅)から徒歩5分程度と考え、地元の不動産店に聞いてみると、
「桜新町の駅近であれば、坪単価300~330万円ぐらいでしょう。ただ、土地面積が広い場合は単価も若干、下がってしまう可能性があります」
ということは、少なく見積もっても3億円近い資産ということか...。
なんて、サザエさん一家の間取りを見ながら、そんなことを考えてしまう45歳の残念な筆者だった。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)