「身内がカルトに入ったら...」 当事者17人の「反応」、調査論文が話題

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ストレスでうつ病になる人も

   当事者の話をもとにした例(段階1~12への当てはめは編集部)では、外出理由やお金の使い道を偽るなど関与の兆候があり(1)、カバンの中から教祖の写真が見つかった(2)。団体について知っていたので危機感を持つも(3)、すぐに解決すると思っていた(4)。

   そこで団体の教義の矛盾や反社会的な活動について指摘し脱会を促すも(5)、マニュアルのような返しをされ、以降、口論が増えるように(6)。いつしか団体の話題に触れるのが怖くて避けるようになった(7)。そんな折、団体への寄付のために借金をし、活動に専念するため仕事まで辞めたことに気づく(8)。さらにはほかの人を団体に勧誘したり、反社会的な活動に参加したりしていることもわかり(9)、家族への愛情と怒りの板挟みになる(10)。

   ストレスからうつ病を患い(11)、これまで理解してもらえないだろうと周囲には相談できなかったが、意を決して警察など公共機関に打ち明けるも「家族で解決すべき問題」「信教の自由」と相手にされなかった――(12)。

   以上を踏まえ、論文では2つの気づきを挙げている。

「カルト問題は、当人のカルト関与を知った家族の初期対応が重要であり、家族は性急な脱会要請への衝動を抑え、当人との信頼関係を失わないコミュニケーションを維持する必要がある。なぜなら、本研究では、家族による"団体批判"を前面に出した脱会要請の繰り返しで家族関係が悪化し、カルト問題がより深刻化していたことが示唆されたからである」
「家族へのサポートは、家族のカルト問題に関する理解の促進、当人と家族の信頼関係の再構築、脱会可能性の曖昧さとの共存への支援に重点を置く必要がある。(中略)信頼関係の修復の試みを継続していても、当人のカルト関与が長期化している家族もおり、カルト問題は長期的視野で捉える必要がある(編注:一方で、社会のカルト問題への理解や支援体制がまだ十分ではないとも指摘する)」
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