足元の業績にはやや明るさ
これを受けて8月1日の武田薬品株は一時、前日終値比7.6%(278円)高の3913円まで上昇、チャート図に「窓をあける」節目の展開となった。
ただ、その後は市場全体が下げ基調ということもあって株価に浮揚力がなく、じりじりと値を下げた。そうした中で売り材料の一つとなったのが大和証券の8月15日付リポートだ。投資判断を5段階で上から2番目の「アウトパフォーム」から3番目の「中立」に格下げし、目標株価も4500円から3700円に引き下げた。アナリストの橋口和明氏は「ベルケイドの想定変更による中長期業績見通しへの影響は限定的」と見る一方、別の血液がん治療薬「ニンラーロ」や高血圧治療薬「アジルバ」、関節リウマチ治療薬「エンブレル」といった主力薬が競合に押されるなどして売り上げが伸びないと判断、「新薬開発の具体的進展を待ちたい」と指摘した。
これを受けて16日の武田薬品株は続落し、一時前日終値比2.3%(84円)安の3531円まで下げて年初来安値を更新した。この日の安値はシャイアー買収が臨時株主総会で承認された直後、買収が嫌気された2018年12月の安値(3498円)まであと33円に迫った。一方、市場では第一三共株が臨床試験を進めるがん治療薬への期待から連日上場来高値を更新。その影響で新薬の話題に乏しい武田薬品株が売られる展開ともなっており、8月26日の7年ぶり安値につながった。その後は28日を底に上向き、3600円台手前まで戻している。
足元の業績にやや明るさが見られるものの、シャイアー巨額買収の不安や主力薬の競争力懸念などから武田薬品株は上値の重い展開が続きそうだ。