乳がんの告知受け...それでもポジティブ「忙しくなっちゃって」
だが2017年、そんな麻倉さんを病魔が襲った。健康診断で左乳房の「がん」と宣告されたのだ。精密検査で約2センチの腫瘍が2つ見つかり、乳房の全摘出手術を受けることになったという。同健診はテレビ番組の企画で行われたが、思わぬ結果に「ショックはショックでした。でもあまりにも(腫瘍が)大きいので、全摘は全摘だな...と納得はしたんですけど」と、当時のメディアに心境を明かしている。
帰宅後、夫の顔を見て号泣したというが「すごく大泣きしたら、何だかスッキリした」と告白。それでも現在の心境を「胸がなくなっても、歌さえあればいいんじゃないかな」と気丈に笑顔を見せながら話している。ちなみに麻倉さんの「がん」は「ステージ4」まであるうちの「ステージ2」で、術後も定期的な検査を受けている。
当時を振り返った麻倉さんは、
「『乳がん』って、ほかの『がん』と違って、しつこいんです。いろんなタイプがあるようなんですけど、私の場合は穏やかに進行するタイプだったんですね。10年間、薬で治療して、再発しなければOKかな...っていう感じです。でも、再発のことを考えて、毎日を過ごしていたら、頭がおかしくなっちゃうでしょ? だから楽しく過ごそうって、思っています」
しかし、大病を患ったものの、前にも増してポジティブになったそうだ。
「(がんになって)逆に、忙しくなりましたね。今までは歌うだけだったでしょ? (がんの)勉強もしなきゃいけないし、活動も増えるし。何より、今まで歌を歌っていただけだったら、お会いできない、お付き合いできない方とも出会いましたしね」
歌手活動を続けながら「ピンクリボン(=乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること等を目的として行われる世界規模の啓発キャンペーン)」にも積極的に参加するなど、多忙な毎日を送っている。
そんなある時、お客さんに言われた言葉が印象的だそうだ。
「『病気の後のあなたの歌が全然、違う』って。すごくうれしかったんです。だから『病気するって、その人に何か大きな意味があるのね』って。(病気に)なることは嫌だけど、それはそれで意味があるのかな...って」
「ヒーロー」の歌詞の中には「胸に眠るヒーロー揺り起こせ」など、戦う人間たちへの熱いメッセージが込められている。
麻倉さんは、
「これまでは『ヒーロー』を歌っていても、皆さんを励ましていたような感じだったんです。でも(病気後は)自分自身を励ましているような感じなのかな...。それがお客さまにも伝わっているのなら、本当にありがたいです」