JR時刻表から「駅弁情報」が消える 食文化と情報ツールの変化で「苦渋の判断」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

JTB時刻表は「今後も掲載」

   日本の駅弁の歴史は1885(明治18)年にさかのぼる。以後各地で食材を凝らした弁当が作られ、名物として定着していく。コンビニも外食産業も無かった昭和初期にはすでに、駅弁は庶民の旅の欠かせないお供で、当時の時刻表にも「弁」マークで、販売駅がしっかり記載されていた。

   しかし現代はコンビニ・駅ナカでも安価に弁当や軽食が買える時代になり、駅弁は相対的に高額で割に合わない食事になりつつあった。また列車の高速化・停車時間の短縮で停車中に駅弁を買うこともできなくなり、かつて駅の風物詩だった駅弁の立ち売りはもはや絶滅危惧種になっている。販売業者の高齢化・経営難で販売を取りやめる駅も少なくなかった。

   また厳密には、時刻表に「弁」マークが表示される駅は、社団法人・日本鉄道構内営業中央会に加盟する駅弁業者が販売している駅に限られる。これは国鉄時代に国鉄の許可を得た業者しか弁当を販売できなかった名残だが、いまでは同会に加盟していない業者でも駅構内で弁当を販売している駅があるなど、「駅弁」の定義もあいまいな現状がある。

   紙の時刻表自体も乗り換えアプリにとって代わられつつあり、駅弁と時刻表はともに旅に必需品ではなくなり、旅人のニーズの減退は否定できない。駅弁情報がJR時刻表からなくなるのも、このような抗いがたい産業と時代の変化を反映したものといえよう。

   ただ、もう一つの全国時刻表の「JTB時刻表」では、時刻表編集部へ取材の結果、「駅弁情報については今後も掲載は続けてまいります」とのことだった。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

1 2
姉妹サイト