「職員がいきいきと働ける職場じゃないといい政策も打てない」
昨今、厚労省をめぐっては、統計不正問題などの不祥事が相次いだ。緊急提言では、「過酷な労働環境は、さらなる悪循環を引き起こしている」などとした上で、毎月勤労統計調査問題における調査報告で「不十分な人員体制による業務遂行・チェック体制の不備が、事案発生の理由の一つとして掲げられている」と指摘。また、起こりうる不祥事については、「組織全体として、一人当たりの業務量負荷が増し、労働環境がさらに悪化し、ミスが生まれ、チェック体制が不十分となれば、次の不祥事が発生する要因となりうる」と警鐘も鳴らしている。
久米さんは「国民の皆さんが期待してもらっているような行政ができてないだろう」などとした上で、「統計問題や裁量労働制のデータ問題などもあると結局、不祥事対応などで余計に人がそっちに割かれ、ほかの行政ができない状態。なんとかしなきゃいかんということと、人がやめていくような状態をどういうふうに組織として留めるか。気持ちよく働いてもらう、というようにしないと、いい政策ができないだろうと思います」と指摘する。
「職員がいきいきと働ける職場じゃないといい政策も打てない」。久米さんはこう強調する。
「ぼくは、国民に寄り添った行政をしたい。障害や難病を持った方、ホームレスの方や寝たきりの高齢者の方、虐待を受けた子ども......。つらい思いなどをしている状態は、人生誰しもあるかもしれないが、その人たちは特にそういう状態。『つらいこともあったけど、いい人生だったな』、『家族に囲まれていい人生だった』、『この仲間がいてよかった』などと最期に思える人を一人でも増やしたくて、この仕事をしている。その思いを共有してもらうためには、今よりも少し改善されて、まずは省内がよい職場になる。厚労省の人間もある程度そういう立場に立たなきゃ、人のことを考えられないと思います」
「好待遇にしてくれとか、楽したい」という思いは一切ない。「今よりも少し改善されて、少しの時間だけでも政策に当てられるとか、少し自分の家族の時間持てるとか、それでいいんです」。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)