メダカ販売店で、2万円相当の高価なメダカが盗難されたとして、店を運営する男性がツイッター上で悲しみと怒りの声をあげている。
盗難に遭ったのは「World Green Aquarium」という新潟にある店。「100円置いて行きます」などと書いたメモが無造作に置かれていたといい、「価値を勝手に決めないで」と憤る。投稿にかけた思いを改めて聞いた。
「本日も2ケース盗まれました」
「World Green Aquarium」はツイッターで2019年8月24日、
「盗難が酷い。あなた様が価値を勝手に決めないでください。時間、お金、愛情がかかります。あなた様が5匹で100円と付けましたが2万円以上で取引されています」
と盗難被害に遭ったことを伝えた。また
「こんな身勝手な人にメダカをもらって欲しくはないですが私が毎日毎日大切に育てたメダカです!最後まで責任を持って立派なメダカにしてな!」
と盗まれた後のメダカを心配する言葉もつづっている。
投稿写真に写るのは、水槽の脇に「メダカ5匹の代金100円、置いて行きます 7/18」と付せんのような紙に書かれたメモ。紙が水に濡れて少しヨレている。
メモにある通り、写真の被害があったのは7月18日のことだが、World Green Aquariumはツイッターで
「本日(編注:8月24日)も2ケース盗まれました。画像は1ヶ月前のです。メダカ盗難の被害が少しでも無くなればいいです!!」
と2か月続けて被害に遭ったことを明かしている。
「もしかしたら盗んでいった人は悪気がないのかもしれない」
World Green Aquariumを運営する30代男性は26日、J-CASTニュースの取材に「24日にケースのメダカが丸々いなくなっていたので、『またか...』と思って、7月の『置き手紙』のこととあわせてツイッターにあげることにしました」と話す。
「7月以前も時々メダカが少なくなっていることがありました。でも猫か鳥にとられたのかなと思って、そこまで気にはしていなかったんです。うちではメダカを育てて販売をしていますが、今は個人事業でお金もあまりないので防犯対策もできていません。ただ、7月はどういうわけか『置き手紙』があったので、さすがにこれは盗難だと思って警察に被害届を出しに行きました」
店で飼育しているメダカの数は数千匹。約1年前にこの店をはじめ、ブリーダーから稚魚などを送ってもらって販売している。手伝ってくれる人もいるが、メインで切り盛りしているのは男性1人。子どものころから熱帯魚やメダカが好きで、学生時代も熱帯魚の店で働いた。一度は就職したものの自分の店を持ちたいという夢があり、仕事を辞めて新潟の専門学校に入った。一から勉強をはじめ、今に至っている。
メダカは1匹8円から数十万円のものまで存在する。同店で扱うのは1匹5000円~2万円ほどするものが多い。手塩にかけて育てているだけに、今回の「置き手紙」に男性は、「なぜ勝手に値段つけていったのでしょう...。腹が立って写真に撮りました。もしかしたら盗んでいった人は悪気がないのかもしれない。メダカならこのくらいの価格だろうと思ってお金置いて持っていったのかもしれません。その身勝手さに怒りを感じます」と歯がゆさを明かす。
屋外の水槽すべてに防犯設備を整えるのは難しい。メダカは室内でも飼っているが、
「太陽光を直接浴びたほうがいいので、ローテーションで室外に出したり屋内に入れたりしています。太陽の光で色が濃くなるし、元気に育つんです」
という。
「伝えたいのは『メダカを買うなら一声かけてほしい』ということ」
人手の関係で発送作業に時間を費やしている。店舗にいられる時間はほとんどなく、現段階では店頭販売をしていない(ネット販売のみ)ということもあり、店に人がいないタイミングを突かれたと見られる。男性は「今日(8月26日)は防犯カメラの業者さんと打ち合わせしました。設置費で数万円、それに加えて毎月のコストもかかるということでした」といい、現在の店舗の規模では決して安くはない。
「置き手紙」をツイッターに投稿したのは注意喚起の思いが強い。「これを放っておいたら次の犯罪も生んでしまうと思うようになりました。少しでも盗難が減ってほしいです」と話す。
一方、今回のツイッターへの投稿には「売名行為ではないか」といわれのない中傷も受けているという。男性は、
「先日、店を手伝ってくれている子が今回の件で取材を受けたのですが、顔写真がネットに出回る事態になってしまいました。それは矛先が全然違うでしょうと思います。私は社会人を辞めて、覚悟を決めて今の店をやっています。そんなことをしたいのではなくて、伝えたいのは『メダカを買うなら一声かけてほしい』ということだけなんです」
と訴えている。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)