国の名勝に指定されている東京都北区の「旧古河庭園」が、「金魚や亀を勝手に放流しないで」と公式ツイッターで呼びかけ、反響を呼んでいる。
旧古河庭園は、10大財閥の1つとされた古河家の邸宅で、今から100年前の1919年(大正8年)に完成した。
「生態系が崩れると、園内の景観も崩れてしまう」
ニコライ堂なども手がけたイギリス人のジョサイア・コンドル(1852~1920)が洋館と洋風庭園を設計し、京都の庭師の小川治兵衛(1860~1933)が日本庭園を造った。和洋が調和した都立庭園として、当時の原型を留める貴重な存在になっている。
ところが、旧古河庭園が投稿した2019年8月27日のツイートによると、日本庭園内にある「心字池」に金魚や亀を勝手に放流する人がいるという。庭園側は、縁日などで買ったり飼い切れなくなったりした金魚などではないかとして、そういったマナーの悪い行為はしないようにツイッターで呼びかけた。
「庭園の中での生態系が崩れると、園内の景観も崩れてしまいます。何より飼い主として責任をもって最後まで命を見届けてください」
金魚など放流の影響について、庭園側は、こう説明して理解を求めた。このツイートは、27日昼過ぎ現在で500件以上もリツイートされるなど、関心を集めている。
都公園協会の旧古河庭園サービスセンターは27日、呼びかけた経緯について、担当者がJ-CASTニュースの取材にこう答えた。
「『この間、金魚を放している人を見た』と男性客から今朝、職員に話があり、時々こういうことがありますので、注意喚起のためにツイートしました。このお客さまによりますと、ビニール袋に金魚を入れて池に放していたということです」
注意されて「見逃してくれ」
1年前には、別の客から、「池に亀を放している人がいた」と庭園側に電話があった。この客が「いいんですか?」と注意すると、「見逃してくれ」と懇願されたという。
金魚などを勝手に池に放す行為は、1年間で10件ぐらいはあるのではないかと、担当者は言う。
「池には、もともとニシキゴイや亀などがいましたが、見たことのない金魚が何匹も泳いでいたこともありました。池に放しても、長生きはできないんですが。園内の生態系が壊れると、昆虫などが発生して、草木の食害も心配されます。本当は、池の周りに柵を作りたくないのですが、作らざるをえないのが現状ですね」
園内では、このほかにも、マナーの悪い客がいるそうだ。
アニメに出てくる洋館に形が似ているためか、許可を得ないまま、コスプレ姿で撮影をする人がいるという。また、東南アジア系の人たちを中心に、結婚式の衣装で園内撮影したりするケースもあった。いずれの撮影についても、文化財庭園のため断っているそうだ。
「グループで来て園内で大声を出したり、お酒を買ってきて柵の中で飲んでいたりしたケースもありました。海外からのお客さまは、文化の違いもあると思います。お声かけすれば、理解して止めて下さっていますね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)