昨年あたりから船を使った空港アクセスが話題になっている。報道によるとJR東日本が都心と羽田空港を結ぶ船便の開設を目指している。
しかし、国内を見渡しても船を用いた空港アクセスは少ない。今回は筆者の経験から船を使った空港アクセスの実態に触れてみたい。
羽田空港と都心部を結ぶ船便
各種報道によると、JR東日本は都心部と羽田空港を結ぶ船便の開設を検討しているという。都心側の船着場は浜松町駅近くの港区・竹芝地区を想定し、日本橋、浅草へも船でアクセスできる。運航開始は早ければ2020年中とのこと。訪日観光客の輸送はもちろん、災害などの緊急時における輸送も見越している。なお2019年8月現在、羽田空港~横浜・お台場間には日曜日限定の定期航路が運航されている。
正直なところ、船と空港アクセスが結びつかない読者も多いだろう。毎日、船でアクセスできる主要国際空港は中部国際空港と関西国際空港だ。中部空港は津(なぎさまち)から上下各15便の高速船が乗り入れている。一方、関西空港は神戸空港から高速船「ベイシャトル」が乗り入れ、本数は上下各16便だ。
船着場へのアクセスなどポイントに
筆者は「ベイシャトル」の乗船経験があることから、そのときの感想をここで記したい。
神戸空港と関西空港との距離は意外と近く、「ベイシャトル」の乗船時間は約30分だ。ただし船着場と空港ターミナルは直結しておらず、移動には時間を要する。神戸空港ターミナルから船着場(海上アクセスターミナル)までは徒歩5分、連絡バスで3分ほどだ。一方、関西空港側の船着場から第一ターミナルまでは連絡バスで6~7分、第二ターミナルまでは15分~20分はかかる。乗船時間と比較して、関西空港内の移動時間がむしろ長く感じられた。
「ベイシャトル」の大きなメリットとしては神戸空港側の駐車場が挙げられる。「ベイシャトル」を利用すると神戸空港側の駐車場は旅行期間中、何泊であっても無料で利用できる。そのため「ベイシャトル」に乗船する人は自動車保有者が多いように感じた。
乗船の経験から考えると、船便を使った空港アクセスのポイントは船着場~空港ターミナル間のアクセスと何かしらのプラスアルファのサービスが挙げられる。いずれにせよ、都心~羽田空港の船便の乗船がとても楽しみだ。
(フリーライター 新田浩之)