AKB48が「原点回帰」を鮮明にしている。2019年夏は「選抜総選挙」開催を見送り、AKB48単体としては4年ぶりの全国ツアーを開催中だ。総選挙と、それにともなう「感謝祭」コンサートでは数万人が詰めかけるのに対して、今回のツアー会場の収容数は2000人程度。ファンとの距離も近くなった。
コンサートの終盤には、ブレイク直前の08~09年頃のものを含むシングル表題曲を立て続けに披露。全盛期を彷彿とさせる演出だ。
出演者を至近距離でスマホ撮影、終演後には「お見送り」
AKB48グループが置かれている状況を反映したのか、コンサートツアーのタイトルは「楽しいばかりがAKB!」。7月7日の大阪を皮切りに、全10都市での公園を予定する。7月20日の仙台、8月3日の広島に続いて、8月17日に埼玉県川越市、8月20日には川崎市で公演した。大阪~広島の公演ではツアーのために選抜されたメンバーが出演したのに対して、首都圏での2会場4公演では、A、K、B、4と4つあるチームがそれぞれ公演した。
AKBが首都圏で開くコンサートは、横浜アリーナや、さいたまスーパーアリーナといった1万人以上収容できる会場が多かったが、今回のツアーの1公演あたりの観客は川越で1700人、川崎で1900人(いずれも主催者発表)。
「箱」の大きさ以外にも、観客と出演者の距離が近くなる演出が目立った。アンコール含めて25~26曲あるうち2曲は、出演者が客席横の通路を通りながら至近距離でパフォーマンスし、その間は観客がスマートフォンで撮影することができる。終演後は、出演者が会場の出口にならんで観客を「お見送り」する演出も加わった。「会いに行けるアイドル」のコンセプトに立ち戻った一面もありそうだ。
「原点回帰」はセットリストにも反映されている。公演ごとにセットリストは違うが、盛り上がる終盤の6曲は各公演で共通だ。「Teacher Teacher」(2018)、「NO WAY MAN」(2018)、「僕たちは戦わない」(2015)、「言い訳Maybe」(2009)、「希望的リフレイン」(2014)、「大声ダイヤモンド」(2008)だ。いずれもメディアでの露出が多いシングル表題曲で、特に「言い訳Maybe」と「大声ダイヤモンド」は、ブレイクする直前に発表された楽曲だ。