若者は「寅さん」を知らない? コミケでコスプレ20年以上「こんな形で盛り上がったのは初めて」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   コミックマーケット96(2019年8月9日~12日)で話題を呼んだコスプレイヤーの中に、意外な形で時の人になった人がいた。

   映画「男はつらいよ」の主人公・寅さんのコスプレイヤーを、撮影者が「元ネタがわからないけど格好いい」という感想を交えてツイッターに写真を投稿、それが「今の若い世代は寅さんを知らない!?」という驚きとともにネット上に広がった。

   昭和の国民的映画の主人公に、令和の世でも扮し続ける理由は何か。J-CASTニュースは、「寅さん」コスプレイヤー本人に話を聞いた。

  • 寅さんのコスプレ歴20年以上、もはやたたずまいも本人のような「寅さん」(以下写真はすべて寅さん提供)
    寅さんのコスプレ歴20年以上、もはやたたずまいも本人のような「寅さん」(以下写真はすべて寅さん提供)
  • 柴又でも寅さんとして現れる
    柴又でも寅さんとして現れる
  • コミケには毎回参加し、ひそかに寅さんとして定着していた
    コミケには毎回参加し、ひそかに寅さんとして定着していた
  • 寅さんのコスプレ歴20年以上、もはやたたずまいも本人のような「寅さん」(以下写真はすべて寅さん提供)
  • 柴又でも寅さんとして現れる
  • コミケには毎回参加し、ひそかに寅さんとして定着していた

奇しくも渥美さん死去の年から

   「男はつらいよ」の映画は1969年から1997年まで、特別編を含めた全49作が制作された。渥美清さんが演じた、トランクを片手に茶色のスーツと腹巻・雪駄姿で全国を旅する「寅さん」こと車寅次郎の風貌は昭和の日本人に親しまれたが、2010年代の日本ではさすがに縁遠い存在かもしれない。

   寅さんのコスプレで注目されたその人は、名乗った名前もズバリ「寅さん」。寅さんのコスプレ歴は長く、1996年から始めたそうだ。

「その頃、24年ほど前、友人同士で寅さんのコスプレをやってみたいという話になり、私が以前から寅さんに似ていると言われていたので、(寅さんを)やってみないかと言われて乗り気になり、寅さんのような身近で親しみのあるキャラクターもいいなと思って始めました」

と寅さんは語る。

   当時寅さんの映画はテレビで見て知っていて、96年の春頃から寅さんのコスプレを始めた。折しも渥美さんが96年8月に死去したが、この頃からコミックマーケットでも寅さんのコスプレで参加し、毎回できる限り毎日参加している。20年以上にわたってコミケで寅さんに扮してきたが、寅さんを知らない参加者に会うことはあっても、その反応がこれだけ広がる体験は初めてだと語る。

「『男はつらいよ』を地上波で放送する機会も減り、CSやBSでの放送が増えてきました。意外と知らない人も多く、知らない世代が現れても仕方ないかなと思いますが、こんな形で二重の反応で盛り上がったのは初めてです。知らない世代からも格好いいといわれたことにも驚いていますが、同時に名前を知らなくてもそう思ってくれたことがうれしいし、ありがたく思います」

と率直な感想を寅さんは語ってくれた。

   そして、名前を知らないだけで驚かれる寅さんの偉大さを実感し、キャラクターを生み出した渥美さんへの尊敬の気持ちも新たにしたという。寅さん以前にもコスプレに興味はあったが、庶民的で意外なコスプレを参加者も面白がってくれたので、寅さんを続けるようになった。

柴又でも会える

   長らく寅さんのコスプレをしていたため、知名度も上がった寅さんはコミケ以外でも寅さんとして活躍中だ。4~5年ほど前から寅さんの故郷にして聖地・柴又で毎月10日に行われる「開運縁日」で「寅さんガイド隊」に誘われ、今ではその一員として、開運縁日の日には寅さん姿で柴又のガイド役を務めている。

   コスプレを続けるとともに映画も全作視聴して「人生訓も得た作品」と語るほど、(寅さんが)大切なキャラクターになった「コミケの寅さん」は、これからも時間の許す限り寅さんに扮したいという。

「今年は寅さん第1作から50周年の節目でもあり、12月27日には新作が公開予定です。冬コミにも参加しますし、皆さんに面白い!と笑っていただけたらうれしいです」(寅さん)

   寅さんを後世に伝えるコスプレに、冬のコミックマーケット97でも、その先のコミケでも会えそうだ。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

姉妹サイト