ある業者「意見は厳粛に受け止めて、改善したい」
それによると、安い給料や重いノルマ、長時間労働に苦しみ、当日配送にするために様々な手段に出るスタッフもいるという。クレーム覚悟で玄関前に荷物を放置したり、在宅確認せずに不在票だけを入れたりするといった行為だ。客からクレームがあると、ドアを蹴るなどの報復をしたケースも聞いたという。
宅配大手の労組などでつくる運輸労連にJ-CASTニュースが聞いたところ、デリバリープロバイダの各社では、個人事業主に宅配を依頼していることが多いといい、労組もないのではないかという。個人事業主については、事故や病気などで欠勤した場合の補償なども今後課題になるのではないかとの見方を示した。
個人で加入できる労組の全国ユニオンは、デリバリープロバイダの配達スタッフからの相談はほとんどなく、8月上旬に初めて相談があったと事務局長が取材に明かした。
「4、50代の男性の個人事業主で、いくつかのデリバリープロバイダに登録して、報酬の割がいいところを選ぶと言っていました。時間にとらわれない働き方も魅力なのでしょう。配達では、2時間以内に何件か行ってほしいと言われ、不在で持ち帰った荷物の個数が多いと、配達率が低いと言われて仕事をもう出さないようにすると言われたそうです」
全国ユニオンでは、デリバリープロバイダの実態がまだよく分からないとして、その内容を把握するため、今後は配達スタッフに相談に来るよう積極的に働きかけたいとしている。
配達トラブルについて、デリバリープロバイダは、どう受け止めているのか。
ある業者は、「意見は厳粛に受け止めて、イメージアップのため、ルール通りきちんと配達してもらうよう改善したい。スタッフに対しては、無理をさせるなど労働環境が悪いということはないと考えています」と取材に答えた。また、別の業者は、「配達スタッフに仕事量の多さなどをヒアリングして、その環境を改善する努力はしています」と説明した。
アマゾンジャパン合同会社の広報部は、「アマゾンは、今後も各配送パートナーと協議しながらお客様に引き続き最高のサービスを提供できるよう努力を継続してまいります」とコメントした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)