MLBの薬物違反者が「即解雇」にならない理由

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   広島のサビエル・バティスタ外野手(27)のドーピング問題が球界に大きな衝撃を与えている。日本野球機構(NPB)は2019年8月17日、バティスタがドーピング検査で陽性の結果が出たことを発表。これによりバティスタは同日、出場選手登録を抹消され、チームを離れた。今後、バティスタに弁明の機会が与えられ、これを受けて調査裁定委員会が処分を決定する見込みだが、広島のリーグ3連覇に大きく貢献した助っ人のドーピング問題は、プロ野球ファンにも衝撃を与えた。

   NPBでは今年6月にオリックスのジョーイ・メネセス内野手(27)のドーピング違反が発覚したばかり。メネセスは違反発覚後、球団から解雇された。NPBが2007年にドーピング検査を導入してから検査で陽性反応が出たのはバティスタで7人目。そのうち6人が外国人選手で、メネセスを含めて違反が発覚した4人の外国人選手が処分発表後、球団から解雇されている。

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スリーストライク・アウト・ルールに基づく発想

   バティスタに関していえば、現段階で明らかになっているのは、ドーピング検査で陽性反応が出たことだけで、検出された薬物などの詳細は公表されていない。また、バティスタに弁明の機会が与えられており、そこで何らかの進展がある可能性もあり、予断を許さない状況にある。今年に入ってからドーピング検査で2選手から陽性反応が出た事実をMLBの元球団職員はどうみるか。J-CASTニュース編集部は話を聞いた。

   MLBの元球団職員によると、MLBでドーピング違反が発覚した場合、即解雇にはならないという。MLBではオーナーと選手との間で結ばれる労使協定で薬物違反時の罰則についてルールが決められ、筋肉増強剤使用の罰則は3段階に定められている。発覚1回目、2回目はいずれも出場停止処分が科され、1回目は80試合、2回目は162試合の出場停止となり、3回目は永久追放処分になる。大量の薬物違反者を出した2013年の薬物スキャンダル「バイオジェネシス・スキャンダル」の影響もあり14年から罰則が厳格化された。

「これはスリーストライク・アウト・ルールに基づく発想だと思われます。メジャーでは薬物違反を犯した選手が1回目で解雇されることはルール上、ありません。必ず更生の機会が与えられます。シーズン中に違反が発覚した選手はプレーオフに出場出来ませんが、そのシーズンでの記録が抹消されることはありません。ただ、殿堂入りは極めて難しくなるでしょう」(関係者)

「厳しい対応は抑止力になっていると思います」

   前出の関係者は、NPBとMLBの薬物違反に対するスタンスの違いを次のように説明した。

「アメリカでは、薬物違反は起こりうるもので、日本では薬物違反者を絶対、出してはならないという違いがあると思います。ですから日本はアメリカよりも罰則がより厳しいものになっていると思います。厳しい対応は抑止力になっていると思いますし、実際、日本はアメリカとは比較にならないくらい違反者が少ないです」

   過去、薬物違反を犯して日本球界を去った4人の外国人選手からは、覚せい剤取締法で規制されるアンフェタミンや、筋肉増強剤などが検出されている。NPBで薬物違反が発覚した選手には出場停止、制裁金などが科され、最長で1年間の出場停止処分が科された例もある。一方、MLBでは2016年2月にメッツのヘンリー・メヒア投手(29)が、3度目の違反でMLB初の永久追放処分を受けた。だがその後、反省の色が見えたとして18年7月に処分が解除され、今年1月にレッドソックスとマイナー契約を結んだ。

   終盤戦を迎え、優勝争いをするチームに水を差すような形となったバティスタのドーピング問題。処分については今後の展開しだいとなるが、前出の関係者は「どのような処分が下されるか分かりませんが、処分が科された場合はセカンドチャンスを与えてほしい。罪人のような扱いだけはしてほしくないです」と訴えた。

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