東京ドームの「シアターGロッソ」で行われている戦隊ヒーローショーに出演していた女性がスタッフからセクシュアル・ハラスメントなどの被害を受けていたと訴えていた問題で、ショーを制作する東映エージエンシーは2019年8月19日、セクハラに関与したスタッフ計6人を処分したと発表した。
発表によるとハラスメントに関与したのは東映エージエンシー社員1人と、委託会社スタッフ5人。後者については「出演停止も含む厳正な処分を行いました」としている。
「ハラスメント等が発生しないよう注意すべき立場であったことを踏まえ...」
この問題をめぐっては、シアターGロッソのショーに司会者として出演していた女性が6月下旬、ツイッターでセクハラなどの嫌がらせを受けていたと告発。ショーに今後出演しないことを明らかにしていた。
会場のシアターGロッソがある東京ドームと、ショーを制作する東映エージエンシーは6月24日、訴えを受けて事実関係の調査を進めることを発表。東映エージエンシーは7月6日、調査の結果、同社社員1人と委託先会社に所属するスタッフなど5人の計6人によって、訴えがあった通りのハラスメントなどが行われていたことが概ね確認できたと途中経過を伝えた。ハラスメントに関与したスタッフには「今後その関与の度合いに応じた厳粛な処分・対応を行います」とし、再発防止策の概要も示していた。
これに続く今回の8月19日の発表で東映エージエンシーは、改めて被害者とその家族、ショーの客や関係者に対して「多大なるご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。「最終報告」と題し、調査を終えて、同社社員1人と委託先会社5人の計6人がハラスメントをしていたことが概ね確認できたとして実際に処分を下したことなどを公表した。
同社社員1人は「本来当社が委託先の会社に対してもハラスメント等が発生しないよう注意すべき立場であったことを踏まえ、社内規定に基づき厳正な処分を行いました」としたほか、「今後のヒーローショーの制作にも関与させないことといたします」との処分。委託先会社の5人については「委託先の会社において、ハラスメント等の内容に応じた出演停止も含む厳正な処分を行いました」としている。
東京ドームも声明発表
再発防止策は、まず「ヒーローショーに関わるスタッフ全員に対するハラスメント講習を定期的に実施」する。「既に、現在行われているヒーローショーに関わっているスタッフは、事前に全員がハラスメント講習を受講しております。今後も、ヒーローショーに関わるスタッフ全員が事前にハラスメント講習を受講する体制を構築し、全員がハラスメントに対する共通認識を持つことができるよう取り組んで参ります」という。
また「ヒーローショーに関わるスタッフが匿名で相談可能な外部の通報窓口を設置」した。これも既に外部通報窓口の連絡先を掲示しており、「今後、ヒーローショーに関わるスタッフに対しては、外部通報窓口の案内を配布し周知していくことで、スタッフが安心してハラスメント等を相談できる環境を構築して参ります」としている。
さらに、「ヒーローショーの現場において、当社、東映株式会社、委託先会社がそれぞれハラスメント対策担当者」を設置する。「各担当者が連携を取ることで、ハラスメントを未然に防止するとともに、ハラスメントの状況を早期に共有し対応ができるよう努めて参ります」としている。
これに加えて「第三者の専門家による定期的な聞き取り調査も実施し、第三者の専門家とハラスメント対策担当者の連携を密にしていくことによって、現場の声を取り入れよりよい体制が構築できるよう改善を続けて参ります」と現場の声を重視することを強調した。
訴えをした被害者とその家族にも話をしており、関与者の処分内容や再発防止策について「ご理解をいただくことができました」としている。
なお東京ドームも19日に「ヒーローショー運営におけるSNS上での訴えについての最終報告」との声明を発表。「当社従業員の関与は認められなかったものの、本ヒーローショーの主催者として、ハラスメント等が行われる環境、風土を看過してきたことにつき、被害に遭われた方及びそのご家族に対し、あらためて心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、管理強化を進めることなどを示した。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)