夏休みの学童保育でも「給食提供して」 保護者の悲鳴、現場はどう受け止める?

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   「毎日の弁当作り、かなり親(主に母親)に多大な負担かかってんだけど」――。長期休み期間中における学童保育所(放課後児童クラブ)に通う子どもの弁当作りについて、負担がかかっていると訴えている人物の文章がネット上で話題になっている。

   学童保育所には共働きの保護者などの子どもが集まる中、弁当作りは保護者への負担となっている。

  • 弁当作りが負担に(画像はイメージ)
    弁当作りが負担に(画像はイメージ)
  • 弁当作りが負担に(画像はイメージ)

「ギリギリの精神状態で更に『弁当作れや』って、死ぬぞ母親」

   話題になった記事は、ブログサービス「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたもの。ネット上で注目を集め、8月14日に人気エントリー(総合)となったが、投稿されたのは18年4月4日。以前から、弁当作りに負担がかかることを問題視する声が上がっていたことが分かる。

   「学童の弁当地獄で母親達が死んでいる件」と題した日記で執筆者は、「学童さ。なんで夏、冬、春休みに給食提供してくれないの?給食費払うから、なんとかならないの?毎日の弁当作り、かなり親(主に母親)に多大な負担かかってんだけど」と疑問を投げかける。

   学童経営が「働く母親目線ではない」としつつ、「母親の苦労を全く知らない父親目線なんだよ」などと指摘し。「変化が大っ嫌いな組織(※役所、教育委員会、学校)が関わってくるんだよなー。そんなに時代に合わせた進化をする事が嫌ですか?臨機応変に動く事が嫌ですか??」と訴える。「共働きワンオペ家事育児して、フラフラの母親は夕飯朝食の準備すらままならないのに、ギリギリの精神状態で更に『弁当作れや』って、死ぬぞ母親!!!!作れたら作るよ弁当。でも作れない位、倒れそうな位クッソ忙しいのよ母親は」と自身が置かれている境遇に触れ、

「全く理解する気ないだろ?理解してないだろ??今、教育の場に立っている40?50代の責任者や担当者ってさ、『だって、自分の母親は毎日弁当作ってたし、あなたも働きながらできるでしょ?』って価値観なんだよ」

と苦言を呈している。

八王子市では、試行的に学童保育での昼食提供

   夏休みなどの長期休暇中にも、共働き家庭などを対象に行われる学童保育だが、学校がある間とは違い、給食は基本的に存在しない。そのため弁当を作らなくてはいけないことが、保護者への負担になっている――そう訴える上記の記事は、少なからぬ共感を呼んだ。

   一方で、八王子市が市内の学童保育所で昼食提供を試行的に始めた取り組みが注目を集めている。

   J-CASTニュースが、同市の子ども家庭部児童青少年課の担当者に取材したところによると、昼食提供の経緯について「保護者から夏休みの長期休暇中の毎日のお弁当作りが大変という声が寄せられた。お昼を提供するのであれば、栄養士が献立を考えたバランスの取れたものを提供できる」と話していた。

   八王子市では、指定管理者制度を導入し、市が設立した88の学童保育所の管理や運営をNPOや社会福祉協議会など12法人に委ねている。このうち、校舎内の空き教室を活用して設置されているなどの2施設で、試行的に始めることにした。

   昼食は、1食300円。メニューは、スタミナ丼やカレーライス、スパゲティなど。主食や主菜、副菜を含めた3~4品を提供する。1食あたり300円となっている。

   申し込んだ子どもの数は、在籍児童に対して約7割~8割。船田小学校の施設では102人のうち7割、第九小学校の施設では67人のうち8割強の子どもが申し込んだ。船田小学童保育所では7月29日から5日間実施。8月19日からは第九小学童保育所でも行う。

   担当者によると、「お弁当づくりが毎日大変なので助かる」などの趣旨の声が保護者から寄せられたという。今後の展開については、「(保護者や子どもからの)アンケートを分析して、1つでも多くの学童保育所で昼食提供が夏休みにできるように検証していきたい」としていた。

厚労省の運営指針では、おやつについては言及

   厚労省では、各自治体に向けて出した放課後児童クラブ運営指針を定めている。同指針では昼食について定めていないが、おやつについては言及しており、「子どもにとって放課後の時間帯に栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する」としている。同省の子育て支援課の担当者は16日、J-CASTニュースの取材に対し「放課後の子どものいる場所という施策。おやつは提供することになっているが、昼食はその場で作って出すように元々想定していない」と語っていた。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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