JR北海道の「非冷房車」は猛暑を耐えられる? 置き換えが難しい事情

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   今夏も全国的な猛暑が訪れ、暑さは北海道とて例外ではなくなっている。札幌では2019年7月29日から8月5日まで8日連続で真夏日を記録した。その他道内各地でも真夏日を記録する日が相次いだ。鉄道やバスでも冷房は当たり前になっているが、JRの普通列車で非冷房車が残っているのは、現在JR北海道だけとなっている。

   北海道とはいえ、非冷房で近年の暑さをしのぐことは問題ないのだろうか。

  • JR北海道に在籍のキハ40。ローカル線普通列車の主力だが、全車が非冷房(Wikimedia Commonsより)
    JR北海道に在籍のキハ40。ローカル線普通列車の主力だが、全車が非冷房(Wikimedia Commonsより)
  • JR北海道に在籍のキハ40。ローカル線普通列車の主力だが、全車が非冷房(Wikimedia Commonsより)

平成期にも非冷房車を新造

   車両冷房は1960年代より都市部を中心に徐々に普及していったが、ローカル線向けに配備される車両は国鉄後期になっても非冷房のものが多くあった。特に東北・北海道ではその傾向が顕著で、国鉄民営化後にJR各社で既存車両の冷房化が進んでもこの地域の普通列車は非冷房の国鉄形車両が残存していた。代わりに耐寒耐雪装備が優先され、夏季の冷房サービスは後回しになっていた。

   JR北海道の在来線では札幌都市圏の電車は冷房化率100パーセントだが、気動車の「キハ40形」「キハ54形」「キハ150形」の3形式に非冷房車が残り、函館本線・根室本線・宗谷本線・石北本線など道内の非電化路線各線で普通・快速列車の運用についている。キハ40・キハ54は他エリアでは冷房を搭載しているが、北海道ではこれまで非冷房で運用されてきて、空調は扇風機と通風機に頼っている。キハ150に至って後期型の100番台が1993年の製造であるにもかかわらず非冷房だった。

   本州に比べると冷涼な気候ゆえ非冷房車が残ってきたが、近年の暑さはさすがに北海道でも非冷房では耐え難くなってはいないだろうか。JR北海道によれば、

「年に1~2件程度、『車内が暑い』といったお声がお客様より寄せられています。また、現段階で非冷房車に冷房装置を設置する予定はありません」

とのことで、既存車両の冷房化の計画はない。

   同社では冷房付の新型気動車「H100形」を2019年から導入予定で、順次キハ40などを置き換えていく計画だ。しかし具体的な導入両数については現在検討中という回答であり、すべての非冷房車が置き換えられるとは限らない。経営環境の厳しいJR北海道にとって、普通列車とはいえ車両置き換えも容易に進まない事情があるというわけだ。

風を感じられる旅情はあるが...

   北海道の非冷房車について、ネットで見受けられる乗客の感想を見ると、「さすがに非冷房では蒸し風呂」「冷房の無いキハ40乗りたくない」という意見もあれば、「窓を全開にして風を取り入れられるので心地よい」という感想もある。

   しかし、北海道の気候も本州なみの酷暑に襲われる時が増えつつある。19年5月26日には佐呂間町で39.5度を観測し5月の観測史上最高記録を更新、翌27日には暑さでレールが変形し、道内で運休する路線が多く出た。

   本州では19年8月6日に停電が発生した京成電鉄でラッシュ時に列車の冷房が停止し、乗客が体調不良を訴えて救急搬送されるなど、都市部の鉄道で冷房は不可欠の装備になっている。北海道でも今後、100%冷房化が喫緊の課題となるかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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