コメ消費は長期的に低下傾向
農水省はコメについて「消費減少の中で主食用米の国内生産は前年並みを維持した」として、今回はマイナス要因とならず、むしろプラス要因になったと説明している。
しかし、日本人の主食であるコメの消費は長期的に低下している。農水省によると、主食米の需要量は01年度以降800万トン台で推移してきたが、12年度に781万トンと初めて800万トンを下回り、近年は年間8~10万トンずつ減少。2018年度は過去最低の740万トンに落ち込んだ。
コメの年間消費量を1人当たりの茶碗に換算すると、日本人は1965年度に1日5杯、米飯を食べていたが、現在は3杯弱となる計算だ。だが日本人がコメの代わりにパンや麺類をたくさん食べるようになったわけではない。1960年代に比べて増えたのは肉類と、植物油・バターなど油脂類だ。
これは何を意味するのか。政府関係者は「日本人の食生活が豊かになり、主食のご飯よりも、肉などのおかずをたくさん食べるようになったということだ。その結果、コメの消費が減ったわけで、食料自給率が長期的に低下するのは避けられない」と説明する。
であれば、自給率アップを標榜する食料自給率目標は現実にはそぐわないことになる。政府がいずれ抜本的な見直しを迫られるのは間違いない。