お盆で墓参りをする人も多いこの季節、ツイッターで「墓石に水をかけて良いのかどうか」という疑問と、それに対する葬儀会社の見解が注目された。
見解を投稿したのは「佐藤葬祭」の佐藤信顕(のぶあき)社長。「キレイにするには上から丁寧に水をかけて洗ってあげてください」と水かけをはっきり肯定したことで注目されている。改めて詳しく話を聞いた。
「仏教的でもなんでもないから、みんな墓はキレイにしてあげていい」
佐藤社長は2019年8月14日、ツイッターで寄せられた「テレビで、お墓の上から水をかけてはいけないと、やってました。宗派によって違うのでしょうか?」という質問に答える形で、「宗派によって違うんじゃなくて、墓の事情によってやり方が異なりますから、習俗風習によるんです。水をかけるのは灌頂(かんじょう)と言って仏教的にも諸仏と縁を結ぶために頭頂に水を注ぐ形もあるので、間違いなんていえないと思います」と投稿した。
佐藤社長は、墓石への水かけは「掃除」であり、水をかけていいかどうかについて「仏教的でもなんでもないから、みんな墓はキレイにしてあげていいよ。葬儀屋のおじさんが保証する」としている。その上で
「上から水をかけちゃいけないんだったら、雨はどこから降ってくるんだって話だし、屋外に置くなよってことになるんじゃないですか、キレイにするには上から丁寧に水をかけて洗ってあげてください」
と改めて水かけを肯定した。複数回に分けて投稿しており、中には4万2000リツイートされたものもある。
佐藤社長は14日、J-CASTニュースの取材に「墓石に水をかけて洗っていいです。土埃などがたまっていますから、上から水で流さないと綺麗になりません」と話す。墓石に水をかけて掃除するのは昔から行われていることで、「鳥や虫もいますし、屋外の墓石が汚れるのは自然なことです。汚れたら綺麗にしようというのも普通です」としている。
掃除しないと「風化や傷みが速くなる」
そもそも「水をかけてはいけない」とされる理由として、「ご先祖様の頭から水を注ぐのは失礼にあたるから」というものがある。佐藤社長は「墓石を体に見立てるのは構いませんが、墓石はあくまで石ですから、綺麗にしてあげたほうが長く持ちます。水をかけず、掃除しないでいると、汚れて墓石の風化や傷みが速くなります。生き物の影響や埃などでベタベタするとカビも生えます」という。
水をかけると墓石が割れる可能性があると言われることもあるが、これについては「単純に水をかけたからではなく、墓石に元々亀裂が入っていたところに水がしみ込んでしまい、膨張するなどして割れることはあります。その場合は取り替えたり補修したりします」という。
一方で佐藤社長は「私が言っているのはあくまで一般論です。すべてのケースを完璧にフォローしているわけではありません」として、墓石がある環境によって掃除の仕方も異なるとする。
「砂が舞っている地域なら水をかけてから砂を落とさないと、いきなりこすったら傷だらけになります。でも、たとえば鹿児島の桜島のほうは灰をよけるために墓石に屋根が付いているところがあります。北海道では降雪対策で室内に墓石を置いているところもあります。そういう場合は汚れが付きづらいですから優しく磨けば十分ですね。状況に合わせて掃除の仕方は変わります」
(J-CASTニュース編集部 青木正典)