神戸製鋼、苦戦する株価 主要事業いずれも振るわず...

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   神戸製鋼所の株価が、業績の下方修正をきっかけに2019年8月序盤から苦戦を続けている。

   2019年8月5日の急落の後も株価は一進一退で、上値の重い展開だ。鉄鋼をはじめ神戸製鋼の柱となる各事業とも経営環境が厳しさを増しており、株価も反転しにくい状況と言えそうだ。

  • 反転の兆しを捉えられるか(イメージ)
    反転の兆しを捉えられるか(イメージ)
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業績見通し下方修正が響く

   8月5日の東京株式市場で神戸製鋼株は制限値幅の下限(ストップ安水準)となる前週末終値比15.2%(100円)安の559円で取引を終えた。この日の最安値でもあった。当日高値(626円)が前営業日安値(655円)を29円も下回り、チャート図に大きく「窓をあける」節目の展開となった。およそ16年半ぶりの安値だ。

   週明けも苦戦が続き、13日にはさらに下落して520円を割り込んだ。

   激しい売りの材料は、2日に発表した2020年3月期通期の業績見通しの下方修正だ。純利益は従来見通しの250億円から前期比72.2%減の100億円に、経常利益は300億円から前期比71.1%減の100億円に、営業利益は450億円から前期比48.2%減の250億円にそれぞれ下方修正した。各利益はもともと減益予想だったが、減益幅が大幅に拡大した。売上高予想は700億円引き下げて前期比1.4%増の2兆円とした。アナリスト予想の平均が純利益で220億円、経常利益で308億円と従来の会社予想に近かっただけに、市場にネガティブサプライズを与えることになった。

   下方修正の要因は何か。経常利益の200億円の減額修正を分解すると、鉄鋼が80億円、アルミ・銅が80億円、建設機械が45億円と主要事業がまんべんなく悪化する見通しだ。

「まずはアルミ・銅の黒字化が喫緊の課題」

   鉄鋼は年間の粗鋼生産量が前期比3%増の715万トンと従来の見通しを据え置くが、汎用品の値下がりや主原料の鉄鉱石と輸送費の値上がりが影響する。アルミ・銅では半導体製造装置向けの厚板や電子材料、自動車向けの需要が落ち込むほか、米国工場の設備トラブルが減額を招く。建設機械は中国で現地メーカーとの競争が激化する油圧ショベルの販売減などを見込んでいる。

   野村証券は「素材関連の収益悪化は深刻と受け止めている。ごく短期では株価が調整するリスクがある。まずはアルミ・銅の黒字化が喫緊の課題であろう」と指摘する。

   黒字化というのは四半期決算を受けてのこと。実は同時に発表した2019年4~6月期連結決算は経常損益が5億円の赤字(前年同期は127億円の黒字)、純損益が11億円の赤字(同126億円の黒字)だった。事業別の経常損益では鉄鋼が15億円の赤字(同8億円の黒字)、アルミ・銅が31億円の赤字(同25億円の黒字)と主要2事業の赤字が大きい。2020年3月期は出足から躓いた格好で、その要因は通期下方修正とほぼ重なる。

   さらに、株価急落の要因として配当政策も指摘されている。「未定」としていた中間配当について2日、見送り0円(前期は10円)とした(下期は「未定」)。前期は上・下期各10円で合計20円の配当実績があるだけに、「通期0円」が視野に入ったことの失望が投資家に広がった。株式市場全体としても米中貿易摩擦などの影響で下落圧力がある中、神戸製鋼株が反転上昇するのは、当面、なかなか厳しそうだ。

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