「まずはアルミ・銅の黒字化が喫緊の課題」
鉄鋼は年間の粗鋼生産量が前期比3%増の715万トンと従来の見通しを据え置くが、汎用品の値下がりや主原料の鉄鉱石と輸送費の値上がりが影響する。アルミ・銅では半導体製造装置向けの厚板や電子材料、自動車向けの需要が落ち込むほか、米国工場の設備トラブルが減額を招く。建設機械は中国で現地メーカーとの競争が激化する油圧ショベルの販売減などを見込んでいる。
野村証券は「素材関連の収益悪化は深刻と受け止めている。ごく短期では株価が調整するリスクがある。まずはアルミ・銅の黒字化が喫緊の課題であろう」と指摘する。
黒字化というのは四半期決算を受けてのこと。実は同時に発表した2019年4~6月期連結決算は経常損益が5億円の赤字(前年同期は127億円の黒字)、純損益が11億円の赤字(同126億円の黒字)だった。事業別の経常損益では鉄鋼が15億円の赤字(同8億円の黒字)、アルミ・銅が31億円の赤字(同25億円の黒字)と主要2事業の赤字が大きい。2020年3月期は出足から躓いた格好で、その要因は通期下方修正とほぼ重なる。
さらに、株価急落の要因として配当政策も指摘されている。「未定」としていた中間配当について2日、見送り0円(前期は10円)とした(下期は「未定」)。前期は上・下期各10円で合計20円の配当実績があるだけに、「通期0円」が視野に入ったことの失望が投資家に広がった。株式市場全体としても米中貿易摩擦などの影響で下落圧力がある中、神戸製鋼株が反転上昇するのは、当面、なかなか厳しそうだ。