広島が自力V消滅の危機に立たされた。
広島は2019年8月12日、マツダスタジアムで首位・巨人と対戦し7-8で敗れた。先発アドゥワ誠投手(20)が初回に4点を失う大乱調で、3回までに大量6点を許した。打線はコンスタントに追加点を挙げていったが、1点及ばず3連敗。巨人とのゲーム差は4.5ゲームとなり、13日に巨人に引き分け以下なら自力Vの可能性が消滅する。
リーグ3連覇もポストシーズンで勝ち切れず...
首位奪回を目指す広島にとって悪夢の立ち上がりとなった。初回、アドゥワの制球が定まらず、3安打3四死球でいきなり4点を献上。3回には好調アレックス・ゲレーロ外野手(32)に2ランを浴び追加点を許した。アドゥワが試合を壊した形になったが、この日は打線が奮起。巨人投手陣から計13安打を放った。だが、最後の最後で力尽き、1点差で逃げ切られた。
首位巨人との天王山。3連勝ならばゲーム差は0.5に縮まる決戦だったが、初戦を落としたことで首位奪回どころか自力V消滅の危機に直面している。今シーズン、7月19日の巨人戦で負ければ自力Vの可能性が消滅する試合で巨人に勝利。怒涛の9連勝で一度は自力優勝の可能性が復活。巨人の失速をしり目にじわじわとゲーム差を縮め、一気にゲーム差を詰めるチャンスだっただけに痛すぎる黒星となった。
ここ一番で勝負弱さを露呈した指揮官。ネット上などでささやかれるのが「短期決戦」での弱さだ。リーグ3連覇中の広島だが、一度も日本一を達成していない。2016年、18年の日本シリーズはいずれも4連敗でシリーズ敗退。17年のクライマックスシリーズ(CS)でも4連敗を喫し、日本シリーズ進出を逃している。
接戦で勝てない広島、ポストシーズンの5敗が1点差負け
ここ3年間の広島のポストシーズンを振り返ってみると、短期決戦に弱いとされる特徴が見て取れる。広島は3度のポストシーズンで計12敗を喫しているわけだが、そのうち5敗が1点差ゲームで、勝利した試合はすべてが3点差以上のもの。打線が好調ならば勝てるが、指揮官の采配がものをいう接戦では一切勝てていない。この事実が、緒方孝市監督(50)が短期決戦に弱いとされる要因だろう。
皮肉なことに、この日のゲームも1点差で落としている。結果的には接戦となったが、中継ぎ陣の不安定さはぬぐえない。守護神ヘロニモ・フランスア投手(25)は不振のため登録抹消となり、代わりに1軍に昇格したカイル・レグナルト投手(30)は結果を残せず、守護神復活に期待のかかる中崎翔太投手(27)の完全復活はまだ見込めない。
13安打を放ちながらも残塁の山を築きあげる打線に、不安が残る投手陣。負ければリーグ4連覇が遠のく13日の巨人戦。ペナントレースを決めかねない天王山第2戦目。指揮官の手腕が問われる。