確認できるのはマスオさんの「早稲田」だけ
実のところ、これらの「学歴」のうち、確認できるのはマスオの「早稲田」だけだ。
1992年に刊行されてベストセラーになった『磯野家の謎』(東京サザエさん学会)によれば、原作の波平は「旧制中学」、フネやサザエは「女学校」卒だ。いずれも当時としては高学歴の部類に入る、と『謎』は分析する。マスオは「私立大」を出ていることは確実で、描写から「ほぼ早稲田大学であると特定していいだろう」。
もちろん、原作とアニメでは時代背景なども違い、設定は異なる可能性が強い。とはいえ、波平京大卒の根拠となる情報は、現時点で確認できない。
にもかかわらず、こうした「デマ学歴」は以前からたびたびネット上で拡散してきた。メディアがこれに「釣られる」こともあり、たとえばあるニュースサイトは2019年2月の記事で、波平が京大卒、という情報を掲載している。
こうした説は、どこから来たのだろうか。
現在のものにつながる「磯野家の学歴」は、少なくとも2005年に存在したことが確認できる。05年6月、2ちゃんねるのニュース関連のスレッドに、突如書き込まれたものだ。
「フグ田サザエ 川村女子短大中退
フグ田マスオ 早稲田大商→海山商事
フグ田タラオ かもめ第三小学校→海城中→海城高→明治大経営→フリーター
磯野カツオ かもめ第三小学校→区立中→都立中→花沢不動産
磯野ワカメ かもめ第三小学校→区立中→都立高→北里大看護→北里大学病院
磯野波平 尋常小学校→丁稚奉公→リーマン
磯野フネ 日本女子大
......」