太陽が照りつける真夏の路面温度はとても高い。手を近づけるだけでも熱さを感じる。地面に直接「肉球」をつけて歩く犬は、「やけど」したりしないのだろうか。
夏に行うペットの散歩について、獣医に注意点を聞いた。
「とても暑い日は、無理して(散歩に)行かなくていい」
2019年も8月に入り、猛烈な暑さが続いている。気象庁のデータによると、都内でも猛暑日(最高気温35度以上)を何度か記録している。人間も暑いが、犬も大変そうだ。地表に近い方が暑く感じるようで、環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、地面から50センチの高さの暑さ指数は、150センチのところと比べ、平均して0.1から0.3度高くなる。
また、国土交通省道路局の資料では、一例として交差点付近で施行される密粒舗装(一般的なアスファルト舗装)が挙げられ、晴天の場合の路面温度は、朝7時30分時点で35.4度。12時から15時の間は、最高で57.4度に達している(2015年7月22日、都内で計測)。
もっとも、日差しが強い昼間に犬を散歩させている人は多くはないようで、都内で犬や猫などを診察する、ある動物病院の院長は「早朝や日暮れ以降に散歩に行く人が多い」とJ-CASTニュースの取材に2019年8月1日、答えた。
「ただ、とても暑い日は、早朝や日暮れ以降でも、無理して行かなくていいと指導しています。気温だけでなく湿度も高い昨今は、夜でも熱中症の危険がありますので。なによりも人間も大変ですし」
と話す。また散歩コースにもよるが、アスファルトに残る熱に関して警鐘を鳴らす。
「散歩というのは移動ですから、家の前が大丈夫でも、移動した先のアスファルトがまだ熱い可能性があります。また肉球の強さにも左右されます。一般的に若い犬は肉球が柔らかいので、より一層の注意が必要です。おおよそですが、夜は日が暮れてから3時間後以降、朝は日の出後3時間くらいまでに散歩を済ませた方が良いと思います」
と述べた。
基本的には、特に暑い日は無理をして散歩に連れていく必要はないと考えているが、それでも犬から散歩をねだられたら、室内でのボール投げなどで運動不足を解消することを提案する。
肉球は治療がしにくい部分
この院長は、飼い主が犬の肉球の「やけど」を疑った方がいい注意点として、犬が「痛がる」「気にして(肉球を)なめる」などを挙げ、歩けないほど痛がる場合、動物病院に連れていくべきだという。
「通常のやけどの治療が適応になるでしょうけど、実は肉球は積極的な治療がしにくい部分です。足に何かを巻くと体温調節ができなくなりますし、犬も嫌がります。痛みがあるなら薬で抑えて自然治療を待つようになると思います」
と述べる。肉球を覆うと熱を逃せる場所が舌と耳だけになり、体温調節の邪魔をするという。
夏の暑さの中で行う犬の散歩については、心配する人も多い。4日には、歌手の工藤静香さんが自身のインスタグラムを更新し、炎天下で犬の散歩をすることに対して、
「この季節は必ず道路を手で触って愛犬の歩く道を確認しませんか?」
などと注意を促していた。
(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)