ガラケーを使用する人をみかける機会が、めっきり減った。だがここ最近、テレビにはガラケーからスマホへ乗り換えを促すCMが流れ、家電量販店ではプランが提供されている。
「乗り換え推し」が続くのはなぜなのだろうか。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクを対象に、それぞれの担当者に話をきいた。
「ガラケーからスマホへ」CMが流れ、プランが提供される
「なんで...なんでスマホに変えなかったんだ~!」と寺田心が腰を落とし泣きじゃくる。手で支えているのは「利用料金が高いんじゃろ?」と満身創痍で口を動かす人形型のおじいちゃんだ。このCMは8月1日から公開されているドコモの「『はじめてスマホ割 楽屋挨拶』篇/スマホダー」の冒頭だ。6月1日からスタートした「ギガホ」「ギガライト」に合わせて提供している「はじめてスマホ割」を念頭にガラケーからスマホを打ち出している。
ソフトバンクも「白戸家」シリーズのCM、「白戸家『お父さんスマホデビューする』篇」を6月19日から全国放映している。CM中では基本料月額980円でスマホが利用できる料金サービス「スマホデビュープラン」を紹介する。
KDDIは直接的に乗り換えを促すCMを現在はオンエアしていないが、現行のCMで紹介している「新auピタッとプラン」をを対象とし、加入した場合、3G携帯を利用するユーザーなどは「ケータイ→auスマホ割」が適応される。
「ガラケーからスマホへ」を推し進める動きの背景はどこにあるのだろうか。J-CASTニュースは8月7日、メールにて質問状を送り、提供する理由を聞いた。
ドコモ広報は、ガラケーからスマートフォンへの乗り換え施策は、数年前から様々な形で実施しているとしつつ、
「スマートフォンならではのサービスやコンテンツの楽しさ、便利さを多くのお客様に実感いただきたいという思い」
から「はじめてスマホ割」を提供しているという。
一方でソフトバンク、KDDI広報はガラケーを使用するユーザーは、いまだなお数多くいると言う。
まだまだ「多い」ガラケー利用者
ソフトバンク広報は、
「スマホをご利用いただくことで、ネットショッピングはもちろん、コード決済やタクシー配車など新しいサービスを体験いただき、お客さまの生活をより便利で快適に、そして豊かなものにするサポートをしたいと考えている。また、SNSなどを使いたいからスマホにしたいというお客さまも多い」
と述べながら、「自社他社含めると、スマホをご利用されていない方はまだ相当数いる」という。KDDI広報も同様に「3Gケータイ(ガラケー)の個人保有率が下がりつつある事実はあるものの、現在も3Gケータイをご利用のお客さまは多数存在しています」と答える。
2019年版「情報通信白書」の第3章「ICT分野の基本データ」には、モバイル端末の個人保有状況が掲載されている。スマホは年々右肩上がりで2018年には64.7%である。しかり26.3%はガラケーを含む「携帯電話・PHS」であった。年々下がりつつあるもののいまだ2割強を占めている状況となっている。
またガラケーからスマホへプランを推し進める背景には、ガラケーの主流を占める3G通信のサービス終了が関係すると答える担当者もいる。
2020年代には3G通信サービスが大きく変化する
ソフトバンク広報はプラン提供の背景には関係はないと回答するものの、17年3月31日と18年1月末日をもって一部3Gサービスを終了している。
NTTドコモは3G通信サービスを2020年代半ばに終了させると2018年10月31日の決算説明会で明かし、KDDIは22年3月末をもってのサービス終了を発表している(18年11月16日)。
実際KDDI広報は乗り換えプランを提供する理由として3G通話サービス「CDMA 1X WIN」の終了に伴い、4G通話サービスへの移行を考えるユーザー向けにプランを提供していると述べている。
(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)
(13日12時追記)ご指摘を受け、本文の一部を修正いたしました。