息子の事件を隠した40代男性警部補に対し、香川県警が行った減給処分について、「身内に甘い」などとネット上で疑問や批判が相次いでいる。
処分当時は報道発表もしておらず、発覚したのはマスコミの情報公開請求だったことも分かった。
減給処分に留め、当時も報道発表はせず
警部補への処分については、2019年8月9日未明から新聞やテレビが次々に報じた。
それによると、警部補の未成年の息子は18年6月、交際相手の女性に暴力を振るったり、女性のスマートフォンを盗んだりした。これに対し、警部補は、女性のスマホを息子から預かって隠したり、女性側に被害届を警察に出さないように求めたりしたという。
女性が19年2月、このことを県警に相談し、警部補はその後、証拠隠滅の疑いで書類送検された。警部補は略式起訴され、高松簡裁が罰金の略式命令を出した。警部補は、罰金を納付したという。
警部補について、県警では、5月23日付で減給10分の1を3か月間続ける懲戒処分にし、警部補は、同日付で依願退職している。
当時は、報道発表しなかったことについて、県警は、私的な行為は停職以上を公表するとした警察庁の指針があるとマスコミ取材に答えた。また、指針には、警察への信頼確保のために必要な場合は発表するとあるが、県警は、被害者のプライバシーにも配慮したとしている。
このニュースが流れると、コメント欄やツイッター上では、「証拠隠滅が私的な行為って」「これ減給程度で済むんだ」「相変わらず、身内に甘いな」といった厳しい声が上がった。中には、「懲戒免職にすべきだ」といった意見も出ている。
あくまで「適切に判断」とする理由は
証拠隠滅行為で、警部補は、女性の家族に警察官だと示唆するなどしたことはなかったのか。この点について、香川県警の監察課は8月9日、J-CASTニュースの取材にこう答えた。
「そういったことは、聞いていません。警察官として圧力をかけたわけではなく、あくまでも親族としての私的な行為だったと考えています」
女性が報道発表を望まなかったのかといった点については、こう説明する。
「女性の意思を確認したわけではなく、公にすれば女性が特定されて精神的な被害を受ける恐れもあると考えて、こちらの判断で発表しませんでした」
今回、マスコミ報道が出たのは、うち1社から警察官の懲戒処分について情報公開請求があり、警部補のケースを含めて公開したからだと明かした。
「プライバシーに配慮し、個人情報を伏せて女性が特定されない情報を出しました。親族の事件の証拠品を隠した、被害申告をあきらめさせたといった範囲であり、それ以上は、マスコミの独自取材によるものです。この内容なら、処分当時も出せましたが、私的な行為は停職以上という指針を考えて発表しませんでした。しかし、処分を隠したわけではありません」
処分が甘いとの指摘については、「過去の先例や事案の内容を見て、適切に判断したと考えています」としている。
警部補の息子の事件については、未成年であることや被害者のプライバシーなどを考えて、担当部署が発表していないのではないかという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)