元徴用工問題や輸出規制強化などで日韓関係がかつてなく悪化する中、日韓の航空便の運休など、訪日客の動向にじわじわと影響が出始めている。関係悪化が長引けば、日本政府が掲げる「2020年に訪日客4000万人」の達成にも水をさす可能性がある。
韓国航空最大手の大韓航空が釜山と札幌を結ぶ路線を9月初旬から運休する方針を明らかにしたほか、アシアナ航空も一部の路線の航空機を小型化する方向で検討。イースター航空など韓国の格安航空会社(LCC)の運休や減便も相次いでいる。いずれも日韓関係の悪化で韓国客が日本への渡航を敬遠し、予約が大幅に減少していることが大きな原因とみられている。
観光業関係者からは危惧の声
日本政府観光局が7月半ばに発表した2019年上半期(1~6月)の訪日外国人旅行者数によれば、韓国からの訪日客は前年同期比3.8%減の約386万人で、2014年以来5年ぶりに減少に転じた。微減にとどまってはいるものの、最盛期の夏に向けて日韓関係はいっそう悪化の度合いを強めており、影響が広がるとの懸念は強まっている。
韓国国内ではビールやたばこ、衣料品など日本製品の不買運動が展開されており、その一環として日本ツアーの予約をやめる動きも加速しているとされる。「7月以降の訪日旅行の新規予約は減少しており、今後の影響が心配」(観光業関係者)との声も出ている。実際、韓国の旅行大手では7月の予約数が前年同期の半分に落ち込んだケースあるとされる。
一方、夏休み期間中の子供たちの交流事業も相次ぎ中止に追い込まれている。神奈川県藤沢市では韓国の高校生のホームステイ事業が直前に中止になるなど、民間交流への影響も深刻化している。