輸出規制の強化をめぐり韓国が反発している問題で、日本政府は2019年8月8日、輸出手続きを厳しくした半導体などの材料3品目のうち1品目について輸出許可を出したと発表した。
7月に輸出許可を厳しくしてから許可を出すのは初めて。申請から許可が出るまで90日程度かかるとされてきたが、今回はその3分の1程度の期間で許可が出たことになる。この背景をめぐり、韓国メディアでは様々な憶測が展開されている。
「禁輸措置ではなく、正当な取引については恣意的な運用をせず許可を出している」
韓国側が問題視している日本側の輸出規制には大きく2段階ある。ひとつが、軍事転用が可能な品目をリスト化し、輸出する際に審査・許可する「リスト規制」。これまでは韓国向けの「フッ化水素」「フッ化ポリイミド」「レジスト」について、輸出企業に3年間有効な包括的許可を与えて個別の審査を省略していたが、7月4日からは輸出可否について個別の許可が必要になった。もうひとつが、いわゆる「ホワイト国」指定除外の問題だ。
今回許可が出たのは前者の3品目のうち、「レジスト」だ。菅義偉官房長官は8月8日午前の記者会見で、
「繰り返し説明している通り、禁輸措置ではなく、正当な取引については恣意的な運用をせず許可を出していることを示したものだと承知している」
と説明した。
日本政府は、輸出規制強化と元徴用工に対する判決の問題は別問題だとの立場だが、韓国側は「明白な貿易報復だ」と主張。すれ違いが続いている。韓国メディアは、この点が予想よりも早く輸出許可が出た背景にあるとみているようだ。