40歳のベテランがチームの窮地を救った。巨人は2019年8月7日、ナゴヤドームで中日と対戦し9-3で勝利した。この日は打線が爆発して2ケタの10安打9得点。丸佳浩外野手(30)、阿部慎之助捕手(40)による本塁打が飛び出し、連敗を6でストップした。2位DeNAが勝利したためゲーム差は0.5ゲームと変わらぬままだが、ベテランの一発でチームが息を吹き返した。
阿部の一言で「重いモノ」が吹き飛んだ
前日6日の完封負けから一転、巨人の強力打線が爆発した。1点リードの5回、2死後から丸、阿部の2ラン共演で4点を獲得。7回には、2死満塁の場面で若林晃弘内野手(25)が走者一掃の3塁打を放ち、これにアレックス・ゲレーロ外野手(32)が続いて4得点。前日のうっ憤を晴らすように打線が爆発し、8月に入って初白星を飾った。
7月7日のDeNA戦以来23試合ぶりとなるスタメン出場を果たした阿部。原辰徳監督(61)が起用した理由はずばり低迷するチームの「起爆剤」だ。6月13日の西武戦以来となる4号2ランで指揮官の期待に応えたベテランは、バットだけではなく、強いリーダーシップを発揮し、ナインに「闘魂」を注入した。
スポーツ紙などの報道によると、阿部は7日のゲーム前に野手を招集して緊急ミーティングを開いたという。これまではチームの主将を務める坂本勇人内野手(30)を後方から支援してきた阿部だったが、チームの危機的状況に立ちあがった。連敗でネガティブになりがちなナインを鼓舞し、平常心を持って野球を楽しむことを推奨したという。6連敗後に原監督がこぼしたナインにのしかかる「重いモノ」が、阿部の一言で吹っ飛んだ。
「原が言うべき事を阿部が言っちゃった」
「慎之助に頼ったということ」。連敗を脱出した指揮官は素直に言った。監督通算1000勝の名将でさえ連敗を止める「策」が見いだせないなか、阿部が監督に代わってチームを勝利に導いた。ネット上では阿部のリーダーシップに「原が言うべき事を阿部が言っちゃった」、「チームをまとめる力はリーダーそのもの」など称賛の声が多く寄せられた。
圧倒的な存在感で不振が続くチームを救い、来シーズンの現役続行が現実味を帯びてきた阿部。G党からは「来年も期待している」、「引退はまだ早い」など40歳のベテランに期待する声も。また、将来的に指導者として入閣が確実視されている阿部だが、ネット上では早くも「阿部新監督」と、次期監督に期待する声もみられる。
連敗を脱したとはいえ、5カード連続負け越し中の原巨人。勝ち越しをかけて臨む8月8日の中日戦は中5日でエース菅野智之投手(29)が先発のマウンドに上がる。7月2日の中日戦以来、白星から遠ざかっているエースの肩にチームの勝ち越しがかかる。2位DeNAには0.5ゲーム、3位・広島との差は2ゲーム。原巨人の正念場はまだまだ続く。