北朝鮮からもつれない反応が...
さらに、この経済協力は南北の2か国だけではできない。南北経済協力事業は北朝鮮にとって外貨獲得につながるため、早期に進めたい意向を繰り返し表明している。だが、その象徴でもある開城工業団地は国連安保理が17年に採択した制裁の対象だ。韓国が独自に経済協力を進めれば制裁違反になる可能性が高く、日米を含む国際社会の理解が不可欠だ。
文氏は以前から「平和経済」の考え方を提唱しており、ホワイト国除外の問題を受けて先鋭化した可能性もある。3月1日に行われた「3.1独立運動」100周年記念式典での演説では、「新しい100年は過去と質的に異なる100年になる」として、「『新朝鮮半島体制』へと大胆に転換し、統一を準備していく」と説明している。演説によると、この「新朝鮮半島体制」は
「理念と陣営の時代を終えた、新しい経済協力共同体」で、
「朝鮮半島で『平和経済』の時代を開いていく。金剛山観光と開城工業団地の再開案も米国と協議する」
と主張していた。
なお、北朝鮮は8月5日に始まった米韓合同軍事演習に反発。北朝鮮外務省は8月6日、
「前では対話についてよく唱え、振り返ってはわれわれを害する刃物を研ぐのが、米国と南朝鮮当局が喧伝(けんでん)する『創意的な解決策』であり、『常識を超える想像力』であるなら、われわれもやはり、すでに宣明した通りに新しい道を模索せざるを得なくなるかもしれない」
などと対南路線の見直しを示唆する談話を発表している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)