消費増税まで、2か月を切った。2019年10月1日からは、原則10%に上がる一方で、一部は軽減税率として8%に据え置かれる。
しかし、実際の運用については、政府も民間も、手探りの状態が続く。国税庁は8月1日になって「Q&A」の最新版(7月改訂版)を公表した。また、ファーストフード店などでも「店内」と「持ち帰り」に価格差をつけるかどうか、各社の対応が割れている。現段階で態度を示していない企業もあり、10月以降しばらく混乱が続きそうだ。
「Q&A」には121の事例が
軽減税率の対象となるのは、酒類を除く食品と、新聞だ。しかし、同じ食品であっても、どんな容器で提供されるか、セットの景品が付くか、客がどこで食べるかなどによって、対象・除外が変わってくる。国税庁の「Q&A」は、これまで度々改訂され、最新版には121の事例が紹介されている。
「Q&A」7月改訂版では、マクドナルドの「ハッピーセット」を念頭に置いたのか、ハンバーガーとドリンク、おもちゃの持ち帰り用セット商品の事例も追加された。なお、ここでのおもちゃは非売品で、売価は0円となっているため、軽減対象になると明示されている。
店内とテイクアウトの両方で提供している飲食店では、同じ商品でも税率に差が出る。対策としては「どちらも同額」とするのが一番わかりやすいが、差額を企業が負担するとなると、収益減につながってしまう。一方で、消費者に負担させると、「便乗値上げ」と受け止められる。
とは言うものの、それぞれの価格に差をつけると、店員のオペレーションが複雑化する上に、消費者も混乱してしまう――。各社が決断を迫られるなか、日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の対応が注目されている。
「店内値下げ」か、「持ち帰り値上げ」か
KFCは、チキン単品価格の据え置きを発表。現在「オリジナルチキン」は1ピースあたり税込250円だが、10月の増税後も、店内・持ち帰りを問わず、そのままの価格になるという。軽減税率が適用される「持ち帰り」は本体価格(税抜)231円+消費税8%=250円のままだが、「店内飲食」は本体価格を227円とし、そこに新税率の10%が乗っかって、あわせて250円となる。店内飲食の場合、本体価格は値下げとなる。イタリアンのサイゼリヤも、税込み価格を据え置く方針だ。
KFCと同じく「発表」しているのが、スターバックス コーヒー ジャパンや、モスバーガーのモスフードサービス。これらは本体価格を変えず、店内は10%に値上げ、持ち帰りは8%に据え置きと、提供形態によって税込価格が変わる。吉野家もこの路線と伝えられている。
「店内価格の値下げ」とは反対に、「持ち帰り価格の値上げ」で統一を図る企業もある。牛丼の松屋フーズやなどが、この対応を取る方針だと報じられている。なお7月末時点で、マクドナルドや、「すき家」のゼンショーなどは、まだ態度を示しておらず、いつ大手の対応が出そろうのか、先が見えない状態だ。