ゲーム・音楽...業界を超えてスタッフが集結
最終的な目標は平山さんのワンマンライブの開催。そのためには自由な表現もできるソロ楽曲も作りたい、ということで、まずはアルバム作りを目標にプロジェクトが立ち上がった。ゲーム会社や音楽制作会社で働くクリエイターやスタッフが手弁当で集まったという。発起人の渡邊さんも本業ではゲーム会社に在籍している。
――どのようにアルバム制作の企画は進んでいったのでしょうか。またプラットフォームにFanbeatsを選んだ理由は何でしょうか。
渡邊:手を挙げてくれたのは全員がゲーム・音楽・ライブなどの業界で働く人ですが、どうすればライブ開催にたどりつけるか、クラウドファンディング(CF)をするならどこが良いか、企画書を作って、平山さんとも話し合いを進めていきました。Fanbeatsは、コンテンツやクリエイターが先にコミュニティを作り、そこに制作者と出資者が集まって何回でもCFができるのが特徴です。ですからCD制作の後ライブが待っているので、もう一度CFができる可能性を考慮したら、Fanbeatsが最も適していました。
本業で所属する企業や職種は様々でも「平山さんのことを心から応援したいという人しかいない」(渡邊さん)というチームで企画は進んだ。結果、いとうかなこさん、松井俊介さん、mftさんといったアニソン・ゲーソンの実績豊富なクリエイターや、「アイドルマスターミリオンライブ!」で共演する声優でミュージシャンの小岩井ことりさん、さらにはMONACA(モナカ)にAstroNoteS(アストロノーツ)という、気鋭の音楽クリエイター集団に所属する作家も作詞・作曲に名を連ねている。
――楽曲制作陣にはそうそうたる顔ぶれが集まりました。どのようなご縁があったのでしょうか。
渡邊:今回音楽プロデューサーを務めてくれた細江慎治さんに、僕が相談をしてA&R(音源制作から販売戦略までを幅広く担う役割)を協力してもらい、細江さんのコネクションなども生かしつつ人選をお願いしていました。まずは平山さんのファンがどんな曲を聴きたいか、というのを重視していて、今まで平山さんが関わってきたコンテンツで曲を提供してきた人や、それに近いジャンルで活躍している人が中心になりました。
――それゆえ「アイドルマスター」シリーズをはじめとした、バンダイナムコのゲームに携わってきた作家さんが多く参加された、と。
渡邊:僕らは平山さんのファンの方がどんな曲を聴きたいか、というのを大事にしていて、素の平山笑美が全力で歌うとどうなるのか、ってファンの皆さんもすごく興味があると思うんです。平山さんが歌ってきたキャラソンにも近い系統とともに、今までの平山さんとは全く違う世界観・ジャンルの楽曲を書けるような方にも協力をお願いしました。また(「艦これ」「ゆるゆり」等で作曲している)松井俊介さんは平山さんがぜひこの人にと希望して参加が実現しましたし、他にも皆さん忙しい中で平山さんの曲ならやるよ! と快諾してくれた人もいます。
――それだけコンテンツを制作する側からも、平山さんは信頼されているんですね。
渡邊:平山さんはお歌が上手いだけでなく、レコーディングもすごく早く済むんです。さらに制作スタッフが気付かなかったところまで修正してレコーディングしてしまう。だからスタッフとしてもすごくやりやすいだけでなく、スタッフなのにファンになってしまう。本当歌うために生まれてきた人だなと思います。(照れる平山さん)
クリエイターまでもファン目線で応援したい思わせる平山さんのスキルと才も、プロジェクトの原動力に相違ない。その気持ちは一般のファンも同様で、「推したい」という情熱を形にできる出資プランによって、自分の声や名前をCDアルバムに残せるようになっている。