重度障害のある参院議員2人の介護費用を、参議院が当面負担することを受け、一部から「国会議員だけ特別扱いするのか」「重度障害者だけの特殊ルール」などと非難する声が上がっている。
こうした中、与党・自民党の武井俊輔衆院議員(44)は、参院の費用負担について「評価されて然るべき」などとツイッター上で主張している。J-CASTニュースでは、武井氏に話を聞いた。
「政治家は行政官ではない」
「れいわ新選組」に所属する筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦(ふなご・やすひこ)(61)、重度障害のある木村英子氏(54)両議員は、障害者総合支援法に基づく「重度訪問介護」を利用しているが、厚労省はこの制度の適用範囲を「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く」としている。そのため、議員活動中に多額の自己負担が発生する可能性があったが、参議院運営委員会の理事会で、必要な介護費用を負担することが決まった。
決定を受け、日本維新の会の代表・松井一郎大阪市長は2019年7月30日、ツイッターを更新し、「その他の就労中の障がい者の皆さんと比べて、公的支援優遇となります」と主張。大阪府の吉村洋文知事も31日、ツイッターで「重度障害者だけの特殊ルールを作るわ、全部税金じゃないか」などと批判した。
一方、武井衆院議員は31日、ツイッターで、参院の費用負担について、与党議員でありながら前向きな意見を述べて、注目を集めた。武井氏は、松井氏の主張について「懸念、反対の意見が多く出ています」としつつも、「今回の参議院の判断は評価されて然るべきだと思っています」とし、
「当面負担、とあります。すなわち永久的にそうするということではなく、会派政党の負担のあり方なども含め、実際に議会活動が始まる中で不断の検討があるということです」
「まだ議員活動も始まらないうちから『高額所得者になったのだから返上しろ!』などというのはバッシングに等しく、これでは重い障害の方が政治に一歩踏み出すことは難しくなってしまいます」
「今回の2議員の当選は、日本の憲政史上画期的なことだと思います。もう少し寛容な心で見守ることができないのか、と心から思います」
などと投稿した。
また、吉村知事が「参議院議員の重度障害者だけの特殊ルール」として反対したことについては、
「あくまでも当面の間の措置であり、まだ2議員の議員活動は始まっておらず、これから活動の中で様々な見直しはされていくことになるでしょう。維新の会の主張は、確かに論理的には一理ありそれらの意見に賛成の声も多くあるでしょう。しかし我々は政治家は行政官ではないのです。感性を豊かにして考えなければならないと私は思います」
などと主張した。