「悪いものを批判するよりもいいものをほめる方がたくさんいろんなものが出てくる」
――1回炎上すると、ネットユーザー全体が批判しているのかと思いがちだが、実際少数なことが多く、3%くらいしかいないという統計もあります(文化庁が実施した、2016年度『国語に関する世論調査』(17年2月~3月調査。調査対象総数3566人、有効回答数2015人)では、炎上に関する設問がある。それによると、炎上状態にあるアカウントなどを見たとき、書き込みや拡散などを「大体すると思う」(0.5%)と「たまにすると思う」(2.2%)を合わせた「すると思う」は計2.8%だった)。
炎上で燃やしている人が3%、炎上を見る人が20%だとして、ほかのネットなんかそもそも見てない・ネットは使うけど炎上のことは興味ないから調べないという現実の約80%の人たちも炎上で作られた噂やデマには影響されてしまう。ネットの中で炎上が鎮火されて、情報の正誤がインターネット炎上に関心があるユーザーたちには共有されても、ネット炎上に関心がない80%の世の中の人たちは、炎上のもたらした噂やデマには気づかないままです。
――問題視されている一次情報の広告を見ず、インフルエンサーの投稿をリツイートしたり、いいねを押したりして「加担」する人もいるかもしれません。一般のユーザーにはどんなリテラシーが求められるでしょうか。
本当に多様な表現を求めるのであれば、悪いものを批判するよりもいいものをほめる方がたくさんいろんなものが出てくると思います。自分が市民社会の中に参加するというのはクレームや批判というようなネガティブな行動だけでなく、ポジティブなアクションもできます。どちらを選ぶのも自由ではあるけれど、個人的には多様なものをみたい、多様なものを守りたいと思ったら、やっぱりいいと思ったものを評価する目線も必要なんじゃないかなと。
いいものを「いい」というのも、悪いものを「悪い」というのも自分自身の快楽ではあるので、自分自身の快楽ということを考えることが重要なんじゃないかなと思います。