2019年8月1日に発売される『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)がネット上で大きな話題になっている。同書の著者はノンフィクション作家の小松成美氏で、歌手の浜崎あゆみさん(40)への取材を基にまとめ上げた小説として発売されるという。そのためか、書籍の中を見てみると目次の前に、「事実に基づくフィクションである。」との記述があるのが確認できる。
同書には、浜崎さんが1998年にエイベックスからCDデビューすることになったきっかけとなる、同社の松浦勝人社長(当時は専務)との出会いに始まり、松浦社長との交際、そして、1999年末に別れに至るまでが記されている。併せて、小説と最初と最後には、現在(2018年時点)の浜崎さんがこれらを振り返る描写があり、正に、浜崎さんの「自伝」とでも言える体裁となっていることが分かる。
「読みたい」との声が上がる一方、「安っぽくなる」との声も
その行動の一挙手一投足が話題になる浜崎さんが自らのこれまでを振り返る内容だけあって、同書に関する記事が出るや、ネット上では賛否両論が噴出する事態となっている。あるツイッターアカウントは、「これめちゃめちゃ読みたいな」と、大きな興味を示しているほか、別のアカウントは、「浜崎あゆみが書いた中学生のポエムみたいな帯だけで白飯8杯いける」と、同書の帯に寄せられた浜崎さんからのメッセージに興味を引かれたとする声もある。
ただ、その一方で、「暴露本は今出して欲しくなかった...安っぽくなる」と、同書を「暴露本」と見なして残念がるアカウントも。また、「暴露本に漂う今更感」と、いまだ現役稼働中の浜崎さんがなぜわざわざこの時期に秘密を暴露するような内容の本を出すのかといぶかる向きもある。
「公然の秘密」が書籍化されただけ!?
しかし、その一方で、「付き合っていたのなんてファンなら知ってる」と、これまでの浜崎さんについての報道や、浜崎さんの言動から、浜崎さんと松浦社長が「特別な関係」にあったことは「公然の秘密」だったとする声も多く上がっている。確かに、浜崎さんについてのこれまでのニュースを振り返ってみると、松浦社長と共に映画の試写会に出席した際の仲睦まじい姿など、公の場での2人の密接な関係をうかがわせる瞬間が何度もあったほか、浜崎さんのインスタグラムや松浦社長のツイッターに2人のツーショットがアップされるなど、その親し気な姿はファンの間でたびたび話題になるなどしてきた。また、浜崎さんのデビュー直後の歌詞の内容から、松浦社長のことを歌っていたと分析するファンが多いのも事実だ。
賛否両論を巻き起こしている同書だが、これらの声を見ていくと、浜崎さんがこの時期に「自伝」を出す理由が、おぼろげながら見えてくるのではないか。というのは、今回の出版が、世間一般では「浜崎さんによる暴露本の出版」と受け止められている一方で、ファンの間では「公然の秘密が書籍化されただけ」との反応が目立つ。加え、浜崎さんがこれまでにインスタグラムに松浦社長との親し気な姿をアップしてきたことを考えると、浜崎さんとしては「秘密を暴露」するつもりは更々なかったのではないだろうか。
だとすれば、「なぜ今、書籍化するのか」という疑問が沸くが、その答えは同書の中にあると思われる。同書の20ページと21ページを見てみると、現在の浜崎さんが松浦社長に対し、今後もステージに立っていたいとする希望を伝えると、それに対し、松浦社長が、
「そんなの当たり前だろ。ここから二十年先までのロードマップを、俺たちは描くんだよ」
と答えるシーンが描かれていることに気付く。
2019年でデビュー21周年を迎えた浜崎さんが、それと同じだけの年数を意識して今後を見据えている......。「なぜ今、書籍化するのか」との問いに対する答えは、浜崎さんがこれまでの自身の活動を総括し、次の20年に思いを馳せていることを世に知らしめたいからではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)