文科省は「ユニバーサル化の段階」の違いを指摘
J-CASTニュースでは7月31日、文科省高等教育局の学生・留学生課に取材した。
17年12月、政府が閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」では、「最終学歴によって平均賃金に差があることは厳然たる事実である。貧しい家庭の子供たちほど大学への進学率が低い、これもまた事実である。貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば専修学校、大学に進学できる社会へと改革する」などとしている。
これを踏まえて担当者は、「一般世帯での大学や短大、専門学校の進学率もユニバーサル化(8割超え)の段階に達してきており、かつての高校の姿と同じようになってきている。高校か大卒かという最終学歴で平均賃金に差がある。ユニバーサル化している状況なので、経済的な理由で行けないとなると平均賃金に関わってくる。今回の授業料等減免と給付型奨学金支給は、格差の固定化を防ぐ観点で実施する」と制度の狙いを説明した。
一方の大学院に関しては「ユニバーサル化の段階にあるかというと1割には至っていない。前段階の5割にも至っていない」と説明。そのうえで担当者は、
「今回(の制度で)打ち出しているのは、経済的に困難な人たちをどう支援していくのか、という部分。同じように大学院の方でも前面に出すのか、ということに関しては、全体の進学動向も十分に勘案する必要がある。(大学院への)政策としてのアプローチ手法は異なる」
と話していた。
大学院に関してはこれまでも、国立大大学院生に対して成績や経済条件に応じた授業料減免の措置、成績優秀者の奨学金返済の免除などをする「業績優秀者免除制度」を実施してきているという。担当者は、「能力のある人たちをどういうふうにして伸ばしていくのかという観点で大学院の部分では手厚くやってきた」としつつ、「引き続きやっていきたい」と示していた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)