無敗の三冠馬として知られるディープインパクトの死が2019年7月30日に発表され、競馬ファンらの間に悲しみが広がっている。種牡馬として過ごしていた牧場「社台スタリオンステーション」によると、30日早朝、頚椎に骨折が見つかり、安楽死の処置を受けた。
現役時代の活躍のみならず、数多くの有力馬を生んだ名種牡馬(しゅぼば。競走馬の父親となる種馬のこと)として知られている。数字とともに、改めてディープインパクトの軌跡を振り返ってみた。
無敗の三冠馬 GIは7勝 獲得賞金は14億5455万円以上
同牧場の発表によると、7月28日に頸部の手術を受けた。術後の経過は安定していたが、翌29日午前に突如、起立ができなくなった。30日早朝に検査をしたところ頚椎の骨折がわかり、回復の見込みが立たないため安楽死の処置がされた。
ディープインパクトは2002年に出生。2004年12月に阪神で開かれた新馬戦で1着デビューを飾り、翌05年の皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制し、史上2頭目となる「無敗の三冠馬」となった。全14戦で武豊騎手とともにレースを駆け抜けた。驚異の末脚を見せ、競馬ファンを魅了。凱旋門賞などの海外レースを含め、14戦12勝の成績を収め、G1レースでは7勝をあげた。獲得賞金は、14億5455万1000円にのぼった。
06年の有馬記念を花道に、07年から種牡馬として供用を始めた。ディープインパクトをめぐる「数字」がさらに巨大になるのは、これからだ。
種牡馬としても7年連続No.1
馬の競り情報などを載せている「馬市ドットコム」によると、07年、08年度は1200万円、09年度は1000万円だった。10年度には900万円へと下がったが、翌11年度には1000万円になった。12年度は1000万円、13年度には1500万円となった。14年度以降からは2000万円になり、2500万円、3000万円と毎年度上がっていた。17年度は同じ3000万円となり、18年度からは4000万円に値上がった。
種付けは7~8割成功するが、2~3割は不受胎になるという。18年度の種付け料と頭数で概算計算をすると、(4000万円×197頭)×0.7(成功率)で、少なくとも55億1600万円の金額が動いたことになる。
社台スタリオンステーションによると、今年の種付け料は4000万円だった。一方、スポーツニッポンの報道によると、今年2月から順調に種付けをしていたが、首の痛みのため、今年3月に入って中止していた。
ディープインパクト産駒には、キズナやマカヒキなど5頭のダービー馬や、14年の有馬記念を含めG1で7勝を果たした牝馬・ジェンティルドンナなど、数多くの有力馬がいる。昨年5月のダービーはワグネリアン、今年5月のオークスはラヴズオンリーユーが制した。12年以降7年連続にわたり、リーディングサイアー(年間の獲得賞金額最多の種牡馬)をキープ。7年間の中で産駒が稼ぎ出した賞金の最多額は、サラ系全馬では16年度の73億7000万円だった。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)