SNSの反応「どこまで思いを寄せてチェックできていたか」
キリングループはすぐに炎上の総括に着手した。消費者の声はどんなものだったのか徹底的に分析。その中で浮かび上がったのは「チェック体制の甘さ」だった。
キリンビバレッジにはもともと「広告倫理事務局」が設置されており、ここが中心になって、社内の広告倫理規定に基づき、広告表現をチェックする体制をとっている。
広告倫理事務局は総務部、コンプライアンス担当、広報担当(コーポレートコミュニケーション部)、お客様相談室担当などが関わっており、広告物のチェック機能を担う。チェックは、お客様相談室に寄せられる声やSNSの反響など、消費者のリアルな声を分析し、会社独自の「オリエンチェックシート」に照らし合わせる。たとえば差別的表現、危険行為を助長する表現、性的表現、事実誤認を招きかねない誇大表現――こうした表現はすべて、受け手の「不快な思い」につながるものとして、事前チェックシートにリストアップしており、該当するか否かを1つ1つチェックしていく。
だが、午後ティー女子の炎上は防げなかった。総括の1つはここにある。
「事務局では広告倫理をよく知るベテランが見ています。『これは差別ではないか。この表記は誇大ではないか』と細かく見るプロです。しかしSNSの反応に関しては、どこまで思いを寄せてチェックできていたか分かりません。時代の変化は激しく、SNS独特の空気は、高い年齢層では掴みきれない部分もあります。我々はこうした部分に対するチェックが十分ではなかったと結論付けました」