ぼくが入管をやめた理由 なぜ、今の法律は「時代と合っていない」のか

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「共生の時代だというのであれば...」

   「究極的にぼくは、入管法を変えたい」。木下さんはこう力説して、次のように語っていた。

「違反者は基本的には収容されなければならない法律だが、実際うまく回ってないじゃないですか。だって全件収容主義なんてどう考えったって建前ですよ」

   法務省によると、19年1月1日時点で、日本には7万4000人以上の不法滞在者がいる。「いま、7万人ぐらいの非正規在留者がいるっていいますが、7万人を捕まえて収容する場所なんかない」。

   1つの組織の中で決定が完結する恐ろしさにも触れる。

「出入国在留管理庁、一つの組織ですべて完結しちゃう怖さも感じますよね。摘発するのも職員、収容するのも職員。審査するのも職員。で、最後の決定をするのも職員。普通だったらそこに第三者の関与があるはずですよ、裁判所の関与だとか。入管は収容するのに、裁判所の令状はいらないですからね」

   収容は退去強制手続きの一環。木下さんは、「すべて行政手続きなので、収容も行政処分の一環としてやる。でも実際は身体の拘束を伴い、人身の自由に影響している。自由と密接にかかわっています。準司法的な手続きであることは間違いないわけじゃないですか」と疑問を投げかける。「入管職員だけの手で摘発から国外追放まで一連で、どこも(第三者が)コミットしないわけですよね。これはやっぱり、ぼくは極めて不健全だと思います。まずシステムを変えないとだめ」。

   木下さんは、在留期間の更新を定める入管法21条の表現にも疑問を投げかける。3項では、「前項の規定による申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」としているが、木下さんは、「この言い回しからして、『許可してやってるぞ』、という言い回しですよ」と指摘する。

「少なくとも外国人の出入国にかかる法律に関しては、『人権』という言葉をこれから使わなければいけないような気がします。仮に使わないにしても、もうこういうような古い表現、ぼく言わせると古い表現、古い表現だとか、古いシステム制度はおさらばすべきだ、と思っています」

   入管行政の問題点をなぜ語るのか。木下さんは、「ぼくは内部告発者ではないんです」としたうえで、次のように語り掛ける。

「日本の退去強制システム自体が入管法含めて、見直しの時期にとっくにきているかなと思っている。ましてや外国人材だ、共生の時代だというのであれば、システムを変えてほしい。人権もへったくれもない」

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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