アスクル側、持ち株の売り渡しを請求する権利の行使も視野
ヤフーの方針表明に対してアスクル側は反発した。7月18日に記者会見を開いた岩田社長は「経営の独立性が損なわれようとしている」と危機感を示し、ヤフー側が「ロハコ」事業の譲渡をアスクル側に迫っていた経緯を明かした。アスクル側の説明では、両社が結んだ協定にはヤフー側に著しい契約違反があれば、アスクルがヤフーに持ち株の売り渡しを請求する権利が定められており、この権利行使も視野に入れるという。
だが、ヤフー側には売り渡しに応じる考えはなく、ヤフーとプラスが事前に議決権を行使したので、8月2日の株主総会で岩田社長の取締役再任は否決されることになった。ヤフーは後任の社長を派遣しない意向を示しており、現取締役から後任が選ばれる見通しだが、新体制になったアスクルにヤフーの影響力が高まるのは必至だ。
強引な手法でアスクルの経営体制に介入したヤフーの背後には、ヤフーを連結子会社化したばかりのソフトバンクの影もちらつき、IT系企業の成長戦略としても引き続き注目を集めそうだ。