WTO(世界貿易機関)の会議で日韓双方の対立する主張に対し、各国はどちらの言い分に理解を示したのか――
日本が輸出管理の優遇措置の対象国から韓国を除外する方針を示し、韓国が輸出規制だと反発している問題で、国際社会の反応ぶりをめぐっても日韓政府が対立する見解をぶつける展開となっている。
「本件の同意が得られたとの事実はないことを示しています」
日本の経済産業省の公式ツイッターは2019年7月25日夜、前日にあったWTOの一般理事会について、4連投して状況を説明した。韓国側が自国主張に支持を得たと受け止めたとする「一部報道」にも言及してこの韓国側見解を否定、「本件の(編注:韓国側主張の)同意が得られたとの事実はない」と断じた。経産省ツイートでは、
「(一般理事会では)輸出管理の運用見直しについて、日本の立場をしっかりと説明しました。会議の時、韓国は、日韓が対話で解決することに反対すれば起立して欲しいと求めましたが、どの国も起立しませんでした」
と説明。さらに、
「これについて、一部報道では、韓国はこの沈黙を支持とみなしたいと述べたと報じられています。しかし、議長が他の出席者に発言機会を与えたが、どの国も発言しなかったということは、一般理事会において、本件の同意が得られたとの事実はないことを示しています」
と、報道内容に触れながら韓国側の「支持とみなしたい」との見解に異議を唱えた。最後の4投目では、
「なお会合終了後、他国の出席者からは、自国の立場を冷静に主張した日本の対応を評価するという声が少なくありませんでした」
と他国からの評価にも触れた(3投目の内容は割愛)。
韓国の「失敗」報じた海外メディアも
経産省ツイートでは、「一部報道」について対象メディアは明示していない。関係報道としては例えば、25日昼配信のフジテレビ系FNN(ウェブ版)記事「WTOで強気の韓国『支持得た認識』対立浮き彫り」では、
「また、韓国メディアによると、(一般理事会に参加した金勝鎬<キム・スンホ>新通商秩序戦略室長は)日韓以外に発言した国がなかったことについて、『沈黙は韓国への支持とみなすか』との記者の質問に、『異議申し出はなかった』として、事実上支持を受けたとの認識を示している」
と報じている。韓国メディアでは、聯合ニュース(韓国語ウェブ版)が25日未明、WTO関連報道の「総合2報」で、政府主席代表としてWTO理事会に出席したキム・スンホ室長が、会議後の記者会見で、
「韓国の会話提案に異議を提起する加盟国があるのか、と他の代表者に公然と尋ねながら、会議中に他の国の発言がなかったのは、韓国政府の強力な支持を示すと述べた」と伝えた。
こうした報道や、先の経産省ツイートを比べると、「日韓以外に発言した国がなかった」(FNN記事)のは日韓双方の認識が一致しているが、その解釈が異なっているように見える。
WTOの該当理事会での各国反応をめぐる、その他の報道では、
「輸出規制、すれ違う日韓 WTO出席国は距離置く」(日経ウェブ版、25日未明)
「韓国、WTOでの支持獲得に失敗(South Korea fails to drum up support at WTO in row with Japan)」(ロイター通信の英語ウェブ版、現地時間24日夜)
などがある。
TBS系「TBS NEWS」(ウェブ版)は、24日深夜に「WTO終了、国際社会は意見割れる」の見出しで、「日本、韓国以外の第三国がどのように受け止めているのか、聞きました」として、
「韓国は熱が入っていた。これは日本が始めた問題だと思う」(ブルガリア関係者)
「2国間で協議して解決すべきだ」(モンテネグロ関係者)
と、2か国の関係者の声を伝えていた。翌25日朝には、同じ2か国の関係者の同じコメントを紹介しつつ、「WTO会合終了、日韓の隔たり鮮明に」の見出しで報じた。
日韓の対立はさらに深まりそうで、26日には共同通信が「対韓優遇除外」について、政府は8月2日にも閣議決定する方向で調整していることが分かったと報じている。