幼児向け乗り物図鑑『はたらくくるま』に戦車などを載せたのは不適切だったと講談社が増刷中止を発表したことに、ネット上で様々な意見が出ている。
自衛隊の車がなぜダメなのかといった疑問も多いが、講談社側は、「武器なので、働く車と同列に並べるのは難しい」と説明している。
戦闘機や潜水艦なども含まれていたが...
パトカーや救急車、バス、ショベルカー、自衛隊の高機動車...。講談社が2018年11月に発行した『はじめてのはたらくくるま英語つき』では、表紙にこんな車の写真がズラリと並ぶ。
3~6歳向けの知育図鑑とうたっており、30ページにわたって様々な車などがカラー写真で紹介されている。
この図鑑は、19年7月22日になって突然、編集を担当した子会社の講談社ビーシーのサイト上で、今後の増刷を行わないことが発表された。
その理由としては、自衛隊の乗り物を特集した6ページ分について、次のように説明している。
「『くるま』というカテゴリーに入らない乗り物、武器としての意味合いが強い乗り物が掲載されていることに関しまして、読者の皆様方からご指摘やお問い合わせをいただきました。この件につきまして、弊社は当該の書籍が3~6歳という未就学児を対象とした『知育図鑑』として適切な表現や情報ではない箇所があったと考えております」
確かに、図鑑を見ると、一般的に車とは見られていない戦闘機や潜水艦なども含まれていた。しかし、図鑑に載った戦車、装甲車などは、車と見られているため、ツイッター上などでは、疑問や批判が続出している。
「戦車や装甲車は全く問題ないと思う」「子供が武器を知っていたら問題あるのかね」「自衛隊の車は災害に派遣され立派に働いている」「自衛隊・隊員の方々を否定するの?」といった声だ。
「武器なので、働く車と同列に並べるのは難しい」
一方、「『たたかうくるま』に載せないとなあ」「戦争関係が多すぎ」「幼児には不適でしょう」などと講談社側の判断に同意する向きもあった。
講談社ビーシーの担当者は7月25日、自衛隊の車などの掲載を不適切とした理由をJ-CASTニュースの取材にこう説明した。
「自衛隊の装備品を多数載せるなら、表紙や帯などでもっと分かりやすく知らせるべきだったと指摘があり、それももっともだと判断しました。武器ですので、働く車と同列に並べるのは難しく、見せる準備が必要だったと考えています。自衛隊の車については、『まもるくるま』『じえいたいのくるま』といった名前にすべきだったということです」
ネット上の疑問や批判に対しては、こう理解を求めた。
「武器は幼児に見せられない考えだと思われたとしたら、それは誤解です。自衛隊を否定しているわけではありません。自衛隊は、知育図鑑に不適切と思っていることもないですね」
そもそも自衛隊の車などを多数載せたのは、自衛隊から頼まれたことはなく、政治的な意図もなかったという。消防車も同じ分量の6ページを割いて紹介しており、働く車両が相当数載っているため、自衛隊以外でほかに探すのは難しかったとしている。
車と見られない戦闘機や潜水艦などを載せたのは、当初は、「はたらくのりもの」の書籍タイトル案もあったからだと説明した。「はじめてののりものずかん」がすでに発行されていて名前がダブるため、8割以上を車が占めれば「はたらくくるま」の名前でもよいと判断してしまったという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)