阪神のアラフォーが躍動している。阪神は2019年7月23日、甲子園でDeNAと対戦し、延長12回6-6で引き分けた。2点リードの7回、先発オネルキ・ガルシア投手(29)が突如乱れて5失点。阪神は8回に2点を挙げて逆転に成功するも9回に1点を返され延長戦へ。両チームそれぞれ8投手をつぎ込んでの総力戦は決着が付かず、6-6の引き分けに終わった。
先制の機会を演出したのは2人のアラフォーだ。5回、先頭の福留孝介外野手(42)が強烈な1塁ゴロで相手の失策を誘って出塁。1死後、75試合ぶりのスタメンとなった鳥谷敬内野手(38)がライト前に運び、1塁走者の福留は果敢に3塁を狙った。1死1、3塁の好機で梅野隆太郎捕手(28)がスクイズを決めて待望の先制点を獲得。ベテランの奮起に甲子園が沸き上がった。
崖っぷち鳥谷が守備でもみせた
6回には1死1塁の場面で糸井嘉男外野手(37)が1塁線を破る2塁打を放ち追加点。逆転を許した直後の7回裏の攻撃では、再び鳥谷がみせた。ジェフリー・マルテ内野手(28)のソロ本塁打に続いて、鳥谷はレフト前に運びこの日、2本目のヒットを記録。このヒットが契機となり4点目をもたらした。守っても鳥谷は2回の守備で、中井大介内野手(29)のあわやセンター前となる打球を横っ飛びでキャッチし、存在感をアピールした。
投手陣では藤川球児(39)、能見篤史(40)のアラフォーが踏ん張った。延長11回のマウンドに上がった藤川は打者3人に対して17球で仕事を終えた。最終12回のマウンドを任された能見は、2四死球で無死1、2塁のピンチを自ら作るも、1死後、ホセ・ロペス内野手(35)を併殺打に打ち取りゲームセット。無失点リレーで切り抜けた。
Aクラス死守、そして逆転Vに向けてアラフォーの活躍はチームにとって明るい材料となる一方で不安視されるのが若き主砲・大山悠輔内野手(24)の「勝負弱さ」と守護神ラファエル・ドリス投手(31)の度重なる「背信」だ。
「思い切ってオーダーを変えても良いと思う」
リーグで唯一、開幕からスタメン4番出場を果たす大山は、ここまで打率.274、打点54の数字を残すものの、勝負所で一発が出ず「勝負弱さ」が目立つ。この日の9回、1死2塁の場面でDeNAベンチは3番・糸井との対戦を避けて申告敬遠し、4番・大山との勝負に出た。阪神の4番にとって屈辱的なシーンだったが、結果、大山は空振り三振に終わり、DeNAベンチの采配に軍配が上がった。
9回のマウンドに上がった守護神ドリスは1点を守り切れなかった。先頭の伊藤光捕手(30)にいきなり四球を与える不安な立ち上がり。後続2人を打ち取ったものの、2番・筒香嘉智外野手(27)に痛恨の2塁打を許し同点。20日のヤクルト戦でも1点リードの9回に同点とされており、不安定な投球が続くドリスは2軍降格の危機にある。
ネット上では虎党から大山の4番降格、そしてドリスの守護神はく奪などの声が上がっているが、矢野燿大監督(50)はまだ動きを見せない。ある阪神OBは「ベテランの活躍でベンチは引き締まり、ナインのムードは盛り上がっている。矢野監督が大山とドリスにこだわるのはよく分かるが、思い切ってオーダーを変えても良いと思う。チームの勢いに水を差してはいけない」と話す。