巨人は2019年7月23日、京セラドームでヤクルトと対戦し、6-5でサヨナラ勝ちした。同点で迎えた9回、無死1、2塁の場面で重信慎之介外野手(26)がサヨナラ2塁打を放った。
原辰徳監督(61)の継投ミスにより8回に同点に追いつかれたものの、重信の一打で帳消しに。連敗ストップのチームは2位DeNAに7.5ゲーム差で首位を堅守。5年ぶりのV奪回に向けて首位を快走する巨人だが、指揮官の采配ミスにより中継ぎ陣の不安定さを露呈した。
なぜ左の青木に右腕デラロサだったのか...
問題のシーンは8回に起こった。7回まで2失点に抑えていた先発・山口俊投手(32)が8回のマウンドへ。ヒットと四球で2死1、2塁の場面で打席に青木宣親外野手(37)を迎えたところで原監督が動いた。左打者の青木に対して指揮官がマウンドに送ったのが右腕ルビー・デラロサ投手(30)。結果、デラロサは青木に初球をライトスタンドに叩き込まれ同点3ランを許した。
原監督の采配で疑問視されるのが、なぜ好投の山口を2死から交代させたのか。そして左の青木になぜ右のデラロサを起用したのか。ベンチには左投手が3人控えていた。守護神の中川皓太投手(25)の回またぎを嫌ったのか、それとも延長戦を見据えてのことなのか、ワンポイントで左の田口麗斗投手(23)、大江竜聖投手(20)らを起用する采配も考えられたが、いずれにせよ指揮官が選択したのは右腕の起用だった。
9回にはスコット・マシソン投手(35)を投入したものの、制球が定まらず2つの四球で1打逆転のピンチに。自滅する形で2死1、2塁となったところで降板し、同点の場面で中川を起用せざる得ない状況に追いやれた。延長戦を想定すれば危険なカケともいえる采配だったが、中川はこの回を無失点で切り抜けた。すべては結果論に過ぎないが、指揮官の采配ミスを選手がカバーして連敗をストップさせた。
「3位までの9ゲーム差は、巨人にとって安全圏ではない...」
今シーズンワーストとなる5連敗は阻止したものの、指揮官のタクトの振り方ひとつで大きく流れが変わってしまった。新加入のデラロサの力はいまだ未知数で、マシソンの調子も上がってこない。デラロサに加えて交流戦後のトレードで3人の投手を補強したが、オールスターゲーム後は3勝4敗と、やや失速気味でチーム状態は決して良いものではない。2位につけるDeNAは好調を維持し、3位広島も息を吹き返しつつある。
在京球団関係者は「確かに今の巨人は強いです。継投ミスがあっても打線がカバーして勝利している。大きな連敗がないのも強みでしょう。ただ、ここにきても打順が固定出来ずにいるし、中継ぎにも不安が残る。後半戦の勢いを見ると、3位までの9ゲーム差は、巨人にとって安全圏ではないでしょう。セ・リーグの流れが変わりつつあります」と指摘する。
24日は楽天から移籍したばかりの古川侑利投手(23)が、移籍後初の先発マウンドとなる。25日にはテイラー・ヤングマン投手(29)が約2か月ぶりに先発のマウンドに上がる。7月30日から3位・広島との3連戦、そして8月2日からは2位DeNAとの首位攻防戦を控える。5年ぶりのV奪回に向けて大きなヤマ場を迎える。