日本航空(JAL)は2019年7月23日、20年4月に導入する客室乗務員(CA)などの新制服を羽田空港で報道陣にお披露目した。制服の刷新は13年6月以来、約7年ぶり。
CAの制服としては11代目。現行の10代目はロゴの「鶴丸」がモチーフで、JALを象徴する鮮やかな赤色を随所に配したデザインは人気が高い。「鶴丸」に愛着を持つ人も多く、新制服にも「鶴丸」デザインが引き継がれた。
袖には引き続き「鶴丸」ロゴ
CA以外にも、運航乗務員(パイロット)、地上スタッフ、ラウンジスタッフ、整備士、搭載・貨物作業スタッフの制服デザインが一新されたのに加えて、沖縄地区で夏に着る「かりゆしウェア」も加わった。
「各方面からも高い評価をいただいている現行制服における優れた点を生かしながら、必要な品質・機能を兼ね備えたもの」
などが基本コンセプトで、社内のプロジェクトチームで選定作業が行われ、そのうちCAと地上スタッフの制服はクリエイティブディレクターの江角泰俊さんがデザインを担当。「ハイブリッド・モダン・ビューティー」をテーマに、異なる素材を組み合わせる「ハイブリッド」と呼ばれる最新のデザイン手法を駆使して「洗練されたハイブリッドビューティー」「ハイブリッドが生み出す、現代的な美しさ」を表現したという。女性CAの制服はワンピースとパンツスタイルを選ぶことができる。制服そのもののデザインは日本トランスオーシャン航空(JTA)をはじめとするグループ会社と共通だが、10代目と同様にスカーフのデザインの違いで見分ける。スカーフと同じストライプをあしらったエプロンも新たに導入した。
ボタンなどにJALのブランドカラーである赤を配し、袖には引き続き「鶴丸」ロゴをあしらった。
2008年にはいったん「鶴丸機」姿消したが...
JAL関係者の「鶴丸」への思い入れは強い。鶴丸は1959年に登場、旧日本エアシステム(JAS)と統合する02年まで採用されていた。その後は機体のデザインも「太陽のアーク」デザインにじょじょに切り替わり、08年6月には完全に姿を消していた。
その後、JALは10年1月に会社更生法の適用を申請して経営破綻。再生に向けた手続きが進む11年4月に「新しいJALを創っていく気持ち」(大西賢社長=当時)で鶴丸が復活し、公的支援を経て12年9月に再上場していた。「鶴丸」がモチーフの10代目が登場したのはその半年後だ。
赤坂祐二社長によると、10代目の制服を「再生の象徴」だと考える社員も多く、社員にとって「非常に愛着がある制服」。制服を変更するか迷ったこともあるというが、20年は東京五輪・パラリンピックが行われるほか、破綻から10年の節目ということもあり、新制服で「心機一転」することにした。