巨人の原辰徳監督(61)が首位固めに向けて動く。
今シーズンワーストタイの4連敗中の原辰徳監督は、連敗脱出に向けて2019年7月23日のヤクルト戦先発に山口俊投手(32)を起用する。2戦目には楽天から移籍したばかりの古川侑利投手(23)の先発を予定。3戦目にはテイラー・ヤングマン投手(29)が約2カ月ぶりに先発のマウンドに上がる。5年ぶりのV奪回に欠かせない先発候補の「連投」となるが、内容次第では緊急トレードの可能性も出てきた。
古川、ヤングマンは生き残りをかけたマウンドに
首位を快走しながらも、先発のコマ不足に頭を悩ませる指揮官が、早速、古川にチャンスを与える。古川は7月8日に和田恋外野手(23)とのトレードで楽天から巨人に移籍。即戦力、先発ローテーションの一角として期待されての入団だ。今シーズン、楽天で8試合に登板して1勝2敗。6月5日の巨人戦(交流戦)に先発しており、5回途中4安打1失点と、原監督の前で好投した。
一方のヤングマンは、5月30日の阪神戦以来の先発マウンドとなる。ヤングマンは開幕から先発ローテーション入りし、期待されていたものの、5月に入ってから不振が続き、30日の阪神戦では4回もたずにKOされ、翌31日に出場選手登録を抹消された。ファームでの調整が長く続いたが、ここ最近、調子を上げてきており、投球内容が安定してきたことで1軍昇格が決まった。
エース菅野智之投手(29)が万全の状態でないなか、7月19日にはC.C.メルセデス投手(25)を出場登録選手から抹消。苦しい台所事情にある巨人投手陣において、古川とヤングマンには先発ローテーション「候補」として大きな期待がかかる。その一方で、移籍後初先発、2カ月ぶりに先発する両投手にとってチャンスでもあり、生き残りをかけた重要なマウンドでもある。
原監督は今シーズン、2度の緊急トレードを敢行し、3人の投手を獲得した。昨オフに補強しきれなかった投手陣を補強。緊急トレード第一弾となった6月28日には日ハムから藤岡貴裕投手(30)、鍵谷陽平投手(28)を獲得し、中継ぎ陣の補強に成功した。ただ、先発陣のコマ不足は相変わらずで、ローテーションの期待がかかる古川は23歳とまだ若く、セ・リーグでの実績は未知数である。
「次の手を打つ可能性もあるでしょう」
新守護神・中川皓太投手(25)を中心にした救援投手は安定感を増しつつある。先発が崩れても中継ぎでカバーする試合も見られるようになり、開幕当初と比べると格段に安定している。5年ぶりのV奪回に向けて欠けているのが「先発」のピース。原監督が勝負所とする夏場に入り、首位固めに入りたい指揮官は新たな補強に動くのだろうか。
在京球団関係者は「今シーズンの菅野は昨年までの菅野ではない。さすがに負けが込むようなことはないが、不安定な投球が続いている。今のところ、山口が先発陣を支えているが、先発の枚数が足りていないのが現状。古川、ヤングマンの登板はテスト的な意味合いもあり、この2人が崩れた場合、次の手を打つ可能性もあるでしょう」と指摘する。
今シーズンはシーズン中のトレードが活発に行われ、ここまで昨シーズンの5組を上回る6組のトレードが成立している。例年、トレード締め切り期限となる7月31日直前に駆け込み的なトレードが頻発しており、昨年は7月23日以降に4組のトレードが成立した。7月30日からは天敵・広島との3連戦を控え、後半戦のひとつのヤマ場を迎える。5年ぶりのV奪回に向けて原巨人は新たな一手を打つのか。トレードの締め切り期限は迫っている。